出版社内容情報
物怪憑きに責任能力はあるのか? 放火と失火では、どれくらい罪の重さが違う? 江戸時代の法的思考を解き明かす、ヴァーチャル御白洲ここに開廷!
【目次】
内容説明
江戸時代の法的思考を解き明かす、ヴァーチャル御白洲ここに開廷!物の怪憑きに責任能力はあるか。
目次
第一章 盗みと火附―甚吉一件(三井寺の下男・甚吉の犯行;御白洲クイズ・その1 ほか)
第二章 叶わぬ恋と艶書の果てに―新助と「かめ」一件(主人の妻と下男の恋;御白洲クイズ・その2 ほか)
第三章 処罰か福祉か―寄場人足・安五郎一件(寄場人足・平三こと安五郎の脱走;御白洲クイズ・その3 ほか)
第四章 「物の怪」と責任能力―定吉・伝七兄弟一件(定吉・伝七兄弟による母親殺し;御白洲クイズ・その4 ほか)
第五章 女による犯罪―「いよ」一件(新吉原で暴れた「いよ」;御白洲クイズ・その5 ほか)
著者等紹介
和仁かや[ワニカヤ]
早稲田大学法学学術院教授。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。神戸学院大学法学部、九州大学大学院法学研究院准教授などを経て2018年9月より現職。専門は近世日本法制史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
126
江戸時代の刑事司法と聞くと処刑や遠島刑を連想するが、むしろ法規や判例に基づき決定していた。当時も責任能力の有無や処罰と更生の均衡など、現代と同じ問題に対して誰にも納得できる最適解を模索していた点は、今日の裁判所が時代ごとに変化する常識や世論の求めに沿った判決を出すのと変わらない。また上部の意見に対し下部の異論申し立てが許され、下部の判断が認められる場合があったのは自由な議論による裁判運営が行われていたともいえる。明治になって西欧流の法体系を受け入れられたのも、こうした法的素地があればこそだったのがわかる。2025/12/21
みつ
28
江戸期を舞台にした時代劇では、町奉行、岡っ引き、火付盗賊改など、犯罪を取り締まる人物は枚挙にいとま無いが、どのようにして刑罰が決定されるかについては盲点だった。本書では天明から寛政年間にかけての18世紀末(p169。ということは、大岡越前と遠山金四郎の間、長谷川平蔵の活躍期)の5つの事例(盗みと火附、密通、人足寄場からの逃走、物怪の憑いた殺人、女の犯罪)について、当時の条文も紐解きながら、各事例につき二択の設問三つで考えさせる。興味を逸らさない記述で、当時の役人と最終決裁者である老中の苦労も偲ばれる。2026/04/28
フク
16
江戸時代の判例集である「御仕置令類集」から、窃盗から物怪憑きまで 5例を深掘りしていくヴァーチャル御白洲。 幕府の役人たちが前例を参考にしつつも、型通りの判決を出していたわけではないことがわかる。 図書館2026/03/09
サケ太
15
べらぼうに面白い。江戸の刑事司法、つまり治安の根幹となる刑事罰の判断はどのような理論で行われていたのか。ただ、野蛮なものだったのか、“死刑”を前提とした見せしめでしかなかったのか。否、決して否。少なくとも、刑事司法の判断を行っていた者たちは、死刑を避けようとしていた。しかし、あくまで法、前例を踏襲した判断を行い、あくまで当時の倫理観的にではあるものの、バランスをとろうとしていた印象がある。例として出される実例を含め、当時の人々の思考を知る事の出来る良書。2025/11/26
さとうしん
15
江戸中期の五つの判例から見る江戸時代の司法のあり方。公事方御定書が明律の影響を受けているとか、細かいところまで規定があるわけではないので奉行らは過去の判例によりつつできるだけ妥当な判決を導き出そうとしたという話が興味深い。自白に頼らず物証を重視する、厳罰百戒的な発想でもなくできる限り客観的な吟味を心がけるというあたりは現代日本の警察の取り調べよりも近代的なのではないかと思わせられる。2025/11/18
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