出版社内容情報
五族協和の王道楽土を理想に建国された満州国。満鉄、満映や日本人開拓移民の生活の現実とは。わずか13年で消えた“実験国家”を貴重なビジュアルでひもとく。
内容説明
満州民族、漢民族、朝鮮民族、蒙古民族、日本民族が協力し争いのない平和な国づくりを目指して満州国。満州躍進の象徴となった特急「あじあ」号、日満親善のアイコンとなった満映の李香蘭、智謀・石原莞爾参謀が「世界最終戦争」のために引き起こした満州事変、清朝復活の執念にとらわれた皇帝溥儀、国策で満州に渡った二七万人の満蒙開拓団…。五族協和の王道楽土を夢見た約一五五万人(軍人を除く)の在留邦人はどう暮らしたか。ソ連による満州侵攻、日本敗戦によって、彼らに何が起こったか。わずか一三年あまりで消えた実験国家の建国から崩壊まで貴重写真でひもとく。
目次
序章 日本の新帝国主義
第1章 満州永久支配
第2章 王道楽土の理想顕現
第3章 満州産業開発五カ年計画
第4章 拓け満州の大沃野
第5章 日満一徳一心
終章 満州国の滅失
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アドソ
15
最近はNHKの「バタフライエフェクト」でも、未公開映像とともに20世紀の歴史を振り返る番組が多数放映されている。本書は満州国の歴史を垣間見ることのできる写真集だが、当時を知る生存者も少なくなっていくなか、このように事実を淡々と記録した本は貴重だと思う。印刷も高精度だし、紙質もよく、つくった人たちの満州国への愛情が感じられた。2024/12/27
ジュンジュン
14
五族協和→あたかも各民族の権利が平等で固有の文化を尊重するかのようなスローガン。王道楽土→道を誤った者には懲罰ではなく、諭して改悛に導く寛容な社会。美しい目標だが、「理想は良かったが、現実は難しかった」というレベルをはるかに超えた、剥き出しの隷属を強要する実態を明らかにしていく。ふんだんに用いられる写真が理解を助けてくれる。2024/10/05
ののまる
10
まさに加害と被害と。2025/03/21
くらーく
7
読んだというよりは、写真を眺めただけですが。今から100年近く前に、ユーラシア大陸の東端にヨーロッパのような都市が出来ていた事実。残念ながら、そこに至る過程や住んでいる人々への差別等は、問題で肯定は出来ないけど、歴史としては興味深い。 もしも、満州国がそのまま残っていたら、と妄想させられる。今のEUのような状況が東アジアにも残っていたのだろうか?満州と中華人民共和国はウクライナとロシアのような緊張した関係になっているのだろうか。朝鮮半島は。。。妄想するだけですけど。2024/11/01
高木正雄
6
写真を見ると建物や都市そのもののスケールが大きいように思った。白系ロシア人もかなり溶け込んでいるように見える。日本の勝手な主張であるのかもしれないが、農業、工業なんかをみるとやはり満州は生命線だったのだろう2024/09/25