出版社内容情報
昭和11年のプロ野球旗揚げから間もなく、野球界は戦禍の渦へと巻き込まれてゆく。122名の選手たちの秘話をもとに、新たな視点で戦争の悲惨さを伝える。
内容説明
昭和一一年、プロ野球旗揚げとほぼ同時に二・二六事件が起こり、日本は戦争へとなだれ込む。日中戦争、太平洋戦争、そして終戦。引き分け禁止や日本語化といった影響を被りながらも断続的にリーグ戦を行い、野球界も戦渦に巻き込まれてゆく。特攻に志願する者、病いや飢えで命を落とす者、帰国して活躍する者―人生の数だけ戦争の記憶がある。プロ野球草創期に生きた一二二名の選手たちの体験談や秘話をもとに、新たな視点で戦争の悲惨さを伝える。
目次
第1章 日中戦争勃発
第2章 大陸戦線拡大
第3章 日米開戦
第4章 軍部介入
第5章 占領政策
第6章 絶対国防圏の死守
第7章 最終決戦
著者等紹介
山際康之[ヤマギワヤスユキ]
1960年生まれ。桑沢学園理事長・東京造形大学学長。東京大学博士(工学)取得。ソニー入社後、ウォークマン等の開発を経て、製品環境グローバルヘッドオフィス部門部長を担当。エコデザイン関連の研究書籍に、『分解デザイン工学』(東京大学出版会)等がある。またノンフィクション作家としての著書があり、『広告を着た野球選手』(河出書房新社)ではミズノスポーツライター賞を受賞している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みこ
18
全体を覆う悲壮感のためか、興味を持って手に取ったにもかかわらず読むのに時間がかかってしまった。この手の本を読むたびに思うのだが、本当に戦争は全てを奪う。それもゼロではなく-1.0にしてしまう。選手の命や未来だけでなく、国民の娯楽、つまり明日を生きるエネルギーまでも奪ってしまう。数々の犠牲の上に平和が成り立っているというが、犠牲なんて無いに越したことはない。2024/06/08
鴨の入れ首
4
【年間500冊読破】2024年4月刊。図書館本です。日中戦争や太平洋戦争で戦って死んでいったプロ野球選手・六大学野球選手が紹介されていました。戦争の犠牲になった野球選手と言えば沢村栄治さんが有名ですが、プロ野球草創期にこれほどまでに戦争によって翻弄されたのか、読んでて絶句しました。本書で紹介されていたのは122人でしたが、それでもごく一部であっただろうということが怖ろしいです。野球好きの端くれとして、平和に野球を楽しめる日常に感謝したいですね。大変興味深い良書でした。2025/02/21
zuzu
4
戦争に行った選手と言えば沢村投手が有名だが、こんなに大勢の選手が駆り出されていたとは知らなかった。球場を接収されたり戦争に振り回される過去に驚いた。プロ野球ファンとして観戦を楽しめる現在に感謝。2024/08/30
takao
3
ふむ2024/05/09
テイク
2
プロ野球選手(本書では六大学等含む)が日中戦争から太平洋戦争にかけてどの様に生きたか死んだかを紹介する。 沢村栄治(巨)影浦将(神)等有名な戦死者や戦後も活躍した川上哲治(巨)藤村富美男(神)鶴岡一人(南)などの戦時中のエピソードだけでなく無名選手達の、戦争に巻き込まれても最後まで所謂敵性競技である野球を愛した生き様に心打たれる。又、多くの有望選手の未来を閉した戦争や軍部の愚かさにも怒りを覚える。長嶋茂雄のプロ入りまでプロ野球は学生野球より卑下さ」ていたというが戦前戦中の時点で国民の相当な熱量を感じる。2024/10/29