出版社内容情報
人口減少で日本の農業はどうなるか。農家はもちろん出荷や流通、販売や商品開発など危機と課題、また新たな潮流やアイデアを現場取材、農業のいまを報告する。
内容説明
日本農業にとって人口減少は諸刃の剣といえる。これまでのあり方を一部で壊してしまう一方で、変革の推進力にもなる。農産物の生産や流通は、総じて人手不足で、生産者と流通、販売、消費の間の溝やズレも明らかになっている。ピンチをチャンスに変えるべく、こうした課題に立ち向かう現場がある。生産から出荷までの合理化、消費者と直接つながる商品の開発、物流のルール変更への対応…。世間で思われているほど暗くない、日本農業の未来を報告しよう。
目次
第1章 データで見る農と食のいまとこれから
第2章 危機にある物流
第3章 待ったなしの農業関連施設の再整備
第4章 大規模化への備え
第5章 外国人、都市住民からロボットまで
第6章 消費者が迫る変化、日本文化を世界へ
著者等紹介
窪田新之助[クボタシンノスケ]
農業ジャーナリスト。日本農業新聞記者を経て、フリー
山口亮子[ヤマグチリョウコ]
ジャーナリスト。愛媛県生まれ。京都大学文学部卒、中国・北京大学修士課程(歴史学)修了。時事通信記者を経てフリー。企画編集やコンサルティングを手掛ける株式会社ウロ代表取締役(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
61
生産者の高齢化による担い手不足が待ったなしになりつつある現状と、社会の少子高齢化に伴う食の構造変化を踏まえながら、多くの先進的事例を紹介しつつその対策を考えている。基本的に成功事例を多く取り上げ、ともすると「暗く」なりがちな話題を明るく持って行こうとしている(しかし決してバラ色には描いていない)ところに著者の思いを感じた。毎年北海道に通い、生産者と話をする機会も得ていた者からすると、納得できることも多い。本書から垣間見えるのは農政のミスマッチ。こうした本を読んだ農政官僚の方々が本気で動き始めることを願う。2023/07/08
tamami
58
思えば「三ちゃん農業の現在」、というようなテーマで学習したのは何時の頃だったろう。コメ一辺倒の主食時代から多様な食材に囲まれる現在に至るまで、私たちは、スーパーの店頭に並ぶ農産物の変化を意識しつつも、バックヤードで展開される日本農業の現在にはあまり注意を払うことが無かったのではないか。本書で展開されるのは、良くも悪くもわが国の農業が抱えている課題や希望を、最新のデータと全国各地に取材した現場の生産者が発した声や、現場で工夫され新たに展開されようとしている農業の姿である。安全で、安価で美味しい食材が提供され2023/05/31
よっち
36
人口減少で日本の農業はどうなるか。農家はもちろん出荷や流通、販売や商品開発などの危機と課題、新たな潮流やアイデアを現場取材、農業のいまを報告する一冊。 生産者の高齢化、物流の2024年問題、集出荷施設の老朽化、農業集落の存続危機、外国人技能実習生頼みの限界、耕作放棄地の増加と懸念、主食がコメでなくなり、伸びる加工・業務用コメなど、顕在化するピンチをチャンスに変えるべく、こうした課題に立ち向かう現場の変革が紹介されていましたが、こうなってくるとやはりポイントは国が政策としてどうサポートしていけるのかですね。2023/06/05
うえぽん
35
人口減少問題への危機感が生産・流通現場に薄いと危機感を持つ2名の農業ジャーナリストによる共著。危機感を煽りつつ、意外に希望も持たせる内容。物流に係る2024年問題によりコスト・時間増で遠隔地産品が首都圏に届きにくくなるが、物流業者が特殊な保管で付加価値を付ける動きも存在。高齢者に偏る農業者人口は今後一気に減少し、従来以上の生産の大規模化、外国人・都市住民・ロボットの活用が欠かせないが、生産性・収益率増に繋がる動きもある。時短ニーズによる加工用野菜やパックごはんの需要も高付加価値化の流れと見るべきだろう。2023/12/18
くものすけ
8
日本の農業は将来的にどうなるのかと漠然とした不安がありました。しかし、本書はそんな日本農業の現実の中から、将来の可能性の芽を紹介してくれています。緻密な現地調査に基づくデータを基礎とした本書は説得力があります。農業人口の減少から農業用地の大規模化に発展のチャンスを見出しているところもありました。農業にも機械化、IT化、無人化という想像も出来ない言葉が頻繁に出てくるところも目から鱗、日本農業の大逆転を期待したい!!2024/05/17