出版社内容情報
紀元前6世紀にゴータマが始めた仏教は、いかにして現在の形となったのか。思想的変遷を歴史の中に位置づけ、各地域の展開を一望。膨大な知の全貌を俯瞰する。
内容説明
紀元前6世紀頃にゴータマがインドで始め、現在も日本文化に深く根を張る仏教。神を絶対者として崇める西洋的な宗教とは一線を画すこの信仰は、時代と地域を超えていかにして現在の形になったのか。上座部、大乗、密教、禅宗など、数多く存在する部派・宗派を歴史の中に位置づけ、それらの発展に秘められた膨大な知の全貌を俯瞰。さらに中国、朝鮮半島をはじめ地域ごとの展開にも目を配り、わかりやすく解説する。これだけは知っておきたい仏教の知識が満載の決定版入門書。
目次
仏教の成立
部派仏教の展開
仏教の革新―大乗仏教
中観派とその思想
瑜伽行派の形成と展開
大乗から密教へ
テーラヴァーダ仏教の伝統
仏教東漸―中国仏教の形成
「新仏教」の展開
韓国(朝鮮)の仏教
日本仏教の濫觴
平安仏教の形成と展開
「鎌倉新仏教」の出現
近世・近代の日本仏教
仏教の現在と未来
著者等紹介
木村清孝[キムラキヨタカ]
1940年生まれ。仏教学者、僧侶、専攻は華厳思想を基にした東アジア仏教研究。曹洞宗龍宝寺(函館市)住職、(公財)仏教伝道協会会長、東京大学名誉教授。東京大学大学院博士課程満期退学。文学博士。東京大学文学部教授、国際仏教学大学院大学教授・学長、鶴見大学学長等を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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俊介
17
2500年の仏教の歴史。各時代、各国の仏教思想家たちは、釈迦の教えをどのように継承し、発展させてきたか。膨大な情報を一冊に収めるので、それぞれは簡略な記述にはなるが、核心部分はきちんと押さえられるように工夫がされてあるなと感じた(その分、難しい議論は難しいまま記述されがちだったが)。仏教史の中では多くの宗派が生まれ、これほんとに同じ宗教なの?と思うくらいにそれぞれ違うのだが、思想史を振り返ってみると見えてくるものは多い。仏教の原点はやはり、慈悲/利他の精神だということは忘れてはならぬのだな、と改めて。2022/01/04
umeko
15
ごく身近にある仏教だが、こうして長い歴史を俯瞰してみると、時代の流れと場所の変遷で様々な形に変化し、非常に興味深く面白かった。しかし、その教義の内容は難解で、理解できないままの箇所もあり本当に苦労した。2022/02/22
moonanddai
10
「そもそもの」仏教から始まり、「ずっと今まで」の仏教の流れを追ったことになりますが、「教養」というのはやや難しい。この本の前に読んだ「初期仏教」の時も感じたのですが、よく言われる、人だの畜生だの地獄だのの輪廻から脱するための「悟り」を説いたといった、簡単にまとめていいものかどうかわからなくなります。そもそも自分だと思っているものは自分ではないといったところから始まり、なら輪廻ってなんだとか、悟りとは何かといったことが、(まだまだ)です…。中国、朝鮮、日本に伝わった仏教もまた、随分変わってきているようです。2023/02/23
owlsoul
4
ゴータマの説法は相手によってその内容が変わるため、一貫性がなかった。それを一つの思想にまとめようとした弟子たちは、議論の末に保守派(上座部)と改革派(大乗)に分裂する。インド仏教では人生を否定的に論じる傾向があるが、東アジアに広まった大乗仏教は、経典の解釈から生まれた本覚思想を支柱としたものに変容し、日本へともたらされた。「あらゆる存在がそのままで真実なるものとして肯定される」という本覚思想は、浄土真宗(親鸞)の他力本願や悪人正機説などによく現れている。その他、禅や密教など含め、仏教の多様さに圧倒された。2022/02/27
かみかみ
3
インドで仏陀による仏教成立してから中国や朝鮮半島を経て日本に至るまでの仏教の展開や伝播、変容についてコンパクトにまとめられている。大乗仏教は紀元前1世紀までにインドで成立していたこと、大乗仏教からいかにして密教が生まれたのか、といった過程について大まかに知ることができた。2023/04/20