出版社内容情報
国であれ企業であれ、貿易の主導権を握ったものが世界を動かしてきた。貿易の始まった大航海時代までさかのぼり、グローバル経済における覇権争いの歴史を描く。
内容説明
貿易は互いに利益をもたらすものと思われているが、その本質は奪い合いであり、近代以前の貿易は戦争そのものだった。現代でもTPPや米中摩擦に見られるように、貿易は各国の利害が対立する“戦場”となっている。加えて今日のグローバル経済下では、国家と多国籍企業が争う場ともなった。本書では国際貿易の始まった大航海時代までさかのぼり、貿易が資本主義経済を成り立たせ、覇権を握る手段として利用されてきた歴史を描いた。貿易は単なるビジネスなどではないのだ。
目次
第1章 近代世界と貿易(大航海時代の幕開けとポルトガル;スペインと新大陸;商人の国オランダの勃興)
第2章 植民地の拡大と移民の大移動(奴隷貿易と植民地の拡大;非ヨーロッパ世界の構造変容;移民による国家の建設)
第3章 アメリカのヘゲモニー(奴隷国家からの出発;領土拡大と植民地;第一次世界大戦とアメリカ合衆国;大恐慌とニューディール)
第4章 世界経済構造の変質(世界恐慌と第二次世界大戦;アメリカの世紀とグローバル資本主義;国家の衰退とグローバリゼーション)
著者等紹介
福田邦夫[フクダクニオ]
1945年生まれ。経済学博士。明治大学名誉教授。専門は国際貿易論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
65
いわゆる「大航海時代」以降の貿易や国際関係を概説したもので、とくに近世・近代についてはウォーラーステイン、松井透、ポメランツなどの業績に依拠してダイジェストしたもの。現代については著者の専門のようで、かなりご自身の主張が盛り込まれている。コンパクトにまとまってはいるのだが、いかんせん間違いが多すぎる。10ヶ所以上発見した。また、引用による説明が主だが、肝心の所で独自解釈が入り、その根拠が示されていない。例えばポルトガルが「インド洋や西アフリカ西岸を制圧」とするが、松井透は点を押さえただけとしているのだが。2025/05/26
おせきはん
23
途中まで貿易の世界史というよりも単に世界史をたどっているように感じましたが、戦争がなくなり、貿易で富を得る行動の主体が国家から企業に変わったのが最近であることに気づき、最後には納得しました。2021/06/12
かんがく
11
内容としては高校世界史+α程度。研究書や史料からの引用が多いのが特徴。2021/12/04
ゆうろう
2
貿易は決して互恵的・対等なものでなく、当事国間の力関係で有利不利が厳然と存在するという、考えてみれば至極当然な主張に多いに納得した。大航海時代以降の(貿易史というか)経済史を多数の参考文献を示しながら解説しており、なかなか為になった。🆗🤓 P143 米国独立戦争当時、多くの先住民部族(いわゆるインディアン)が英国側について戦ったとは、知らなかった。また、フォードやGMがナチスドイツの軍用車輌を製造、フォード首脳はヒトラーからドイツ鷲大十字勲章まで授与されてたとはな〜。(P233)類書にもあたりたい。2022/02/15
Go Extreme
2
貿易の主役 双方に利益 多国籍企業 国際貿易の構造 近代世界と貿易:大航海時代の幕開けとポルトガル スペイン 商人の国オランダの勃興 植民地の拡大と移民の大移動:奴隷貿易と植民地の拡大 非ヨーロッパ世界の構造変容 移民による国家の建設 アメリカのヘゲモニー:奴隷国家からの出発 領土拡大と植民地 第一次世界大戦とアメリカ合衆国 大恐慌とニューディール 世界経済構造の変質:世界恐慌と第二次世界大戦 アメリカの世紀とグローバル資本主義 国家の衰退とグローバリゼーション2021/04/16
-
- 和書
- 西暦三千年、想いの森