出版社内容情報
西郷の手紙を丹念に読めば、歴史家が見落としてきた真の姿が見えてくる。厳密な考証で生涯を再構成する、既成の西郷論への挑戦の書。
内容説明
西郷が親友や家族に送った私信に注目しつつ系統的に読み解いて、歴史上の人物・西郷(隆盛)ではなく、現実に生きた生身の人間・西郷(吉之助)の実像を明らかにしていく。併せて、西郷のいくぶん謎めいた心奥にも迫る。
目次
主君のもとで
安政五年
南嶼遠島
国事周旋
討幕へ
戊辰戦争
明治初年
朝鮮遣使論
政府大分裂
郷党集団〔ほか〕
著者等紹介
川道麟太郎[カワミチリンタロウ]
1942年神戸市生まれ。大阪大学大学院工学研究科修士課程修了。工学博士。元関西大学工学部教授。建築計画学・建築論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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aki
0
手紙などの一次資料にこだわって史実を深堀した意欲作。心中して一人助かった頃から、自分の命をいつかどこか遠くへ投げ出してしまいたい欲求を抱き続けていたような印象。 西郷の依って立つところはどこだったのか考えさせられる。結局は斉彬への忠心と、それを拡大して薩摩藩への帰属意識だけだったのかもしれない。帰藩後、板垣ら他藩と交流しなかったこと、県役人を藩出身者で固め、地租改正も実行していない状況を看過していたことも、その証左。2018/05/24
ゆき
0
数多くの非専門家による西郷伝記のなかに比較的にまともな方と噂されている一冊。確かに史料をもとに書いてはいるが、一点のみを挙げて分析するのが多くて、複数の史料を比較しながら検証する専門家のものとの間にやはり距離がある。とは言うものの、もしくはだからこそ、人物評の方がよりはっきりとした態度を取っていて、気持ちよく読める。2018/02/16