ちくま新書
大坂の非人―乞食・四天王寺・転びキリシタン

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  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480067326
  • NDC分類 216.3
  • Cコード C0221

出版社内容情報

「非人」の実態は、江戸時代の身分制だけでは捉えられない。町奉行所の御用を担っていたことなど意外な事実を明らかにし、近世身分制の常識を問い直す一冊。

内容説明

「非人」は「士農工商えた非人」という江戸時代の身分制度の最底辺に縛りつけられた人々と考えられがちだ。しかし彼らの実態は、固定的な制度だけでは理解することができない。たとえば大坂の非人は、ただの「乞食」ではなく、町奉行所の御用に欠かせない存在であったのだ。本書は、史料の丹念な読解により、一七世紀から一九世紀にかけての非人たちのドラマチックな変容を追い、意外な真実を明らかにする。そうして非人個人の“生”の実態を見ることにより、近世日本の身分制を問い直す。

目次

序章 非人とは何か―非人と身分を問う視角
第1章 形成―一七世紀の非人集団
第2章 構造―一八世紀の非人集団
第3章 展開―一九世紀の非人集団(一)
第4章 視線―一九世紀の非人集団(二)
終章 垣外仲間の解体

著者等紹介

塚田孝[ツカダタカシ]
1954年生まれ。東京大学文学部卒業。博士(文学)。専門は日本近世史。現在、大阪市立大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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香菜子(かなこ・Kanako)

30
大阪の非人:乞食・四天王寺・転びキリシタン。塚田孝先生の著書。江戸時代の厳格な身分制度の底辺にいた人たちが担っていた意外な役割と実態を知りました。2018/11/04

魚京童!

24
細かい話が多い。えたとひにんを分けてないし、私の読みたい本じゃなかった。長吏って文書書けるってことはそれなりのレベルがあるとか思う。人間真剣に考える状況になれば、それまでの知識を使ってどんどん考えられる。でも考える状況になければ、ただ生きてる。私も今はただ生きてる。良くないよね。でもそれでいいのかもしれない。ただ生きる。よりよく死ぬ。もっとワクワクしたいんだけど。2019/09/28

浅香山三郎

19
近世大坂の非人たちの垣外のうち、四天王寺の垣外の統括者であつた長吏の家に伝わつた文書をもとに、非人たちの生業(乞食、祝儀を貰ふ慣例、公儀の御用など)や、それに関する権利(株)のあり方を説く。固定化された被差別の社会構造のなかでも、四天王寺との所縁や由緒を糸口に社会的な地位上昇を図らうとする動きなど、非人身分の人々の対為政者、四天王寺の人々らとの駆け引きがよく読み取られる。やや細かすぎるところもあるが面白く読んだ。2020/02/22

chang_ume

9
貧困・疾病・障害・被暴力など、パワレスな状態に置かれた人びとはどのように〈救済〉されるか。排除と包摂の存在様式が「社会」「時代」の個性そのものだろうと思う。「転びキリシタン」の家系を核として、近世大坂の都市周縁に形成された非人集団「四ヶ所垣外」の通史です。みずから「乞食」「貧人」をルーツとする社会集団が、新たな被排除者を救済・包摂しつつ、勧進権を「株」化させながら、最終的には限定的に「帯刀」すら認可されるまで社会的上昇を遂げていく。彼ら非人集団にとって、四天王寺がアジール化する経緯を含めて興味深い。2019/01/17

hiratax

5
タイトルはセンセーショナルだが、内容は普通の歴史研究書。教科書に書かれているような歴史観は、あとから作られたものである。「史料」を読み込むことで見えてくるものがあると気付かされる。こういう本に期待する、わかりやすさや、都合のいい話に持っていかないところは誠実なんだろうけど、すげー面白いかといえば疑問。2013/12/26

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