ちくま新書
ニッポンの海外旅行―若者と観光メディアの50年史

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480065599
  • NDC分類 689.21
  • Cコード C0236

内容説明

「最近の若者は海外旅行に行かなくなった」といわれて久しい。二十代の出国者数は一九九六年にピークを迎え、十年あまりで半減した。それを若者の変化だけで問題化するのは正しくない。海外旅行の形も、大きく変わってきたのである。本著は『何でも見てやろう』、「地球の歩き方」、『深夜特急』、「猿岩石」など、時代を象徴するメディアとそれらが生まれた社会状況を分析し、日本の若者が海外をどう旅してきたのかを振り返る。そして現在の海外旅行が孕む問題の本質を、鮮やかな社会学的アプローチで明らかにする。

目次

はじめに―「なぜ最近の若者は海外旅行に行かなくなったのか」という問題
第1章 「海外」と「観光」の系譜
第2章 「歩く」旅の源流―1960s
第3章 日本の若者たちが、ヨーロッパを歩き出す―1970s
第4章 『深夜特急』に乗って、アジアを「発見」する―1980s
第5章 海外で「日本」を生きる―1990s
第6章 「買い・食い」中心の短期旅行、やがて旅行離れ―2000s

著者等紹介

山口誠[ヤマグチマコト]
1973年東京都生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(社会情報学)。現在、関西大学社会学部准教授。専門はメディア研究、歴史社会学、文化研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こにいせ

10
海外旅行離れを加速させた原因を、紀行文学・ガイドブックを軸に追究していく。沢木耕太郎の『深夜特急』に着想を得たはずの「猿岩石」の旅が、実は異なるイメージを提供しているという論点などなど、興味深い考察の数々。「旅」することへの欲望の移り変わりを、鮮やかに活写している。戦後の事例が中心ではあるが、古今東西の旅の歴史にも頁数を割いており、思考の射程距離も長い。気鋭の社会学者の渾身の一冊。学者のコトバはこうでねーとな、という本。2010/08/16

かば

8
我が国における海外旅行の受容のされ方について、文化・経済の両面からその推移を辿る良書。印象的だった点を紹介。①近代以降の日本の観光文化は、江戸時代の「お伊勢参り」から陸続きであるゆえに、大義名分を要する団体旅行が主であった(P41)。② 1960年代以降の海外旅行においては一般的に「歩く」という社会的行為によってその土地の地理や都市構造に自らの認識を合わせていくことに価値が置かれたが(p79)、90年代以降スケルトン・ツアー(短期旅行)が主流になるにつれて7歩く」行為が失われてきている。2021/12/31

印度 洋一郎

4
戦後の日本における、若者達による海外旅行とその情報を伝達するメディアの変遷を辿る。かつては大学生(知的エリート)による自分探しだったものが、段々大衆化すると共に細分化していく。ある者はタイやインドでまったり過ごし、又ある者はリゾート地や都市で慌ただしく買い物とグルメに勤しむという両極端な風景に行きついた。その過程は、”旅”という文化に対する認識の変遷であり、同時に日本社会の変容の写し絵でもあった。とにかく、わかり易くて説得力のある考察はとてもエキサイティングだし、戦後旅行史をコンパクトにまとめた名著だ。2010/11/20

メロン泥棒

3
これは傑作。若者の海外旅行離れについて、「なぜ海外旅行が魅力的でなくなったか?」という観点から1960年代から2000年代までの若者の海外旅行の変遷を元に考察する。海外旅行の解禁とバックパックから猿岩石、そして「るるぶ」へ。文化としての海外旅行は断絶し、買い・食いだけとなった海外旅行には既に若者を惹きつける魅力は無くなってしまった。詳細でありながら、非常にわかりやすい、久々に良い新書に出会った。2010/09/24

KAWAZOI

1
上の世代が自分たちより海外旅行していた、それもバックパッカーが多かった実感なんて全然ない。少なくとも身の回りでは聞いたことないから、どこの世界の話なんだろう?と思う。70年代80年代に若者だった世代との接点が極端に乏しいだけなのか? 以下感想 https://lfk.hatenablog.com/entry/2021/04/28/2144162021/04/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/612859
  • ご注意事項

最近チェックした商品