出版社内容情報
脱石油の時代と言われながら、なぜ石油の争奪戦は激化し、価格は乱高下しているのか。石油をめぐる国際政治経済の深層を描き出す。
内容説明
二一世紀に入り、石油をめぐる世界情勢は激変した。アジア新興国の台頭で需給が逼迫するなか、石油は投機商品となり、原油先物市場において石油価格は「第三次石油危機」と言えるほど異常な高騰を見せた。そのうえ、中国やロシアによる国際政治上の地位をめぐる石油外交や、多国籍企業たる国際石油会社による熾烈な権益争奪戦が密かに進行しているのだ。最前線で石油権益交渉に長年携わってきた専門家が、知られざるその内幕を描き出し、日本のとるべき石油戦略を提示する。
目次
第1章 石油価格はなぜ乱高下するのか
第2章 中東の終わらない危機
第3章 ロシアの野望
第4章 中国の台頭
第5章 アメリカの新エネルギー政策
第6章 日本のとるべき石油戦略
著者等紹介
岩間敏[イワマサトシ]
1946年鳥取県生まれ。早稲田大学法学部卒。日本経済新聞社、トヨタ自販系研究所を経て石油開発公団(後の石油公団)に入る。通商産業省調査員、ハーバード大学中東研究所客員研究員、石油公団パリ事務所長、計画部長、ロンドン事務所長、理事等を経て、現在、石油問題研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まーくん
5
商業的にペイできるかで可採埋蔵量は決まる。つまり需給関係で油価が変われば埋蔵量評価も変わる。そもそも地層中に含まれる石油の3割程度しか(技術的に)採ることができない。石油の探査には莫大な費用と高い技術が必要。しかもプロジェクト成功率は10%程度のハイリスク。石油はお金を出せば、いつでも調達できる市場商品ではなく戦略物資。セブンシスターズといわれたメジャーは今でも資金力、技術力で圧倒的等々。著者は石油鉱業界出身。一般的に流布している石油の常識と専門的な知識の間には大きな差異があることが理解できる。2018/02/03
naoto
3
オイル業界に関しては昔々、落合信彦でよく読んだな…この本は、2010年初版。10年前だけど、勉強にはなる。結局2020年を迎えても、やっぱり石油は戦略物資の一つで…ただ、新型コロナ禍で、その重要性は少なくなったけど。2021、22年と、石油の重要性が変わるのかどうか、注目だな。2020/07/06
keepfine
2
事実関係の整理だけ2016/10/31
VISTA
1
再読。中国の力が向上したこと以外は大きな変化はない。10年前の本だが今でも耐えうる内容だと思う。2020/07/26
tkmt
1
石油は世界を左右する。戦争の原因として多く挙げられるものが石油の権益であるように。環境問題が叫ばれるも、新興国の成長に伴い石油の争奪戦は激化している。メジャーがガチガチに固めている石油開発業界に食いこんで行く事の厳しさがわかるし、そこには各国の戦略が見えてくる。日本国内を縦断するパイプラインが無い問題は新鮮だった。災害に強いパイプラインを建設できれば均衡のとれた生活環境の維持や迅速な復興に役立つのかもしれない。2020/02/22