出版社内容情報
資本主義の本質を見抜き、日本実業界の礎となった渋沢栄一。利潤と道徳を調和させる経営哲学には、今なすべき指針がつまっている。
内容説明
日本実業界の父が、生涯を通じて貫いた経営哲学とはなにか。「利潤と道徳を調和させる」という、経済人がなすべき道を示した『論語と算盤』は、すべての日本人が帰るべき原点である。明治期に資本主義の本質を見抜き、約四百七十社もの会社設立を成功させた彼の言葉は、指針の失われた現代にこそ響く。経営、労働、人材育成の核心をつく経営哲学は色あせず、未来を生きる知恵に満ちている。
目次
第1章 処世と信条
第2章 立志と学問
第3章 常識と習慣
第4章 仁義と富貴
第5章 理想と迷信
第6章 人格と修養
第7章 算盤と権利
第8章 実業と士道
第9章 教育と情誼
第10章 成敗と運命
著者等紹介
渋沢栄一[シブサワエイイチ]
1840(天保11)~1931(昭和6)年。実業家。約470社もの企業の創立・発展に貢献。また経済団体を組織し、商業学校を創設するなど実業界の社会的向上に努めた
守屋淳[モリヤアツシ]
1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大手書店勤務後、中国古典の研究に携わる。雑誌連載、講演などを数多く行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つっちー
206
恥ずかしながら、渋沢栄一という人物をこの本を手に取るまで知りませんでした。 実業家は利益だけでなく、公益、国益をも追及すべきという主張は、昨今の企業コンプライアンスの厳格化をみても、やはり正しいのでしょう。 しかし、現代の感覚でみると、古く感じる部分もあります。 老舗企業の社是や、経営理念をいろいろ見聞きすると、少なからず渋沢氏の影響は見られます。 時代を超えて通用する考え方も多く、社会人ならば、読んで損はないと思います。2019/04/04
ぴよこ
188
全く渋沢栄一氏の事を知らなかった自分がとても恥ずかしかった。日本にこのような方がいたことは宝だと思いました。道徳。自分は思いやりという事をココロにいつもとめていましたが、この本を読んで少し違う何かが思いやりに変化しつつあります。ので、再読ですね!2019/01/21
速読おやじ
155
前から読みたかった書であるが、この現代語訳は極めて読みやすい。金儲けを否定せず、但し自分だけのために為すのは良くないと諭す。人格、道徳を重視していたと分かる。今の経済人にとっては普通だが、商人の地位がまだ低かった時代に論語をベースに、経済を問うという考えは相当目新しかったのではないか。西郷隆盛とのエピソードなどは初めて知ったもので、明治維新のど真ん中の様子も良く分かる。忠ー良心的である、信ー信頼、孝弟ー親や年長者を敬、仁一物事を健やかに育む、これら儒教なども含めて昔の道徳の教えも捨てたものではない。2021/04/03
aponchan
153
現代語訳になっており、非常に読みやすい内容になっていました。現代でも示唆する内容がふんだんに盛り込まれていたので、是非とも若い人にも読んで、自分たちの会社・仕事に対する姿勢と照らし合わせて欲しいと感じました。2018/04/04
まちゃ
140
「日本資本主義の父」と呼ばれる渋沢栄一の経営哲学のエッセンスを知ることができる一冊。「論語」とは道徳、「算盤」とは利益を追求する経済活動。「道徳に基づいた経営」。グローバル化、企業の社会的責任、持続可能な開発目標(SDGs)、働き方改革など変化の激しい時代に指針となる考え方の参考となりました。2024年度発行の新一万円札の渋沢栄一に恥じないように徳を積まないといけませんね。2020/06/01