出版社内容情報
ゴルフ場は生態系を保護している!「環境破壊の元凶」として語られた過去を検証し、「現代の里山」としてゴルフ場を見つめなおす。
内容説明
ゴルフ場は「環境破壊の元凶」として語られた過去をもつ。だが、いまやゴルフ・コースでは草花や樹木、池、草地が良好に管理され、多様な生態系がよみがえった。ハナノキ、オオタカ、ギフチョウ、ゲンゴロウなどなど、日本の森から消えていった動植物が、のびのびと生きているのだ。本書では、ゴルフ場の環境負荷を検証し、人と自然がふれあう「現代の里山」として、ゴルフ場が果たせる新たな役割をさぐる。
目次
第1章 ゴルフ場が嫌われた歴史的背景
第2章 ゴルフ場反対の狼煙上がる
第3章 ゴルフ場開発がもたらす自然の変化
第4章 ゴルフ場の農薬を検証する
第5章 ゴルフ場の環境機能を考える
第6章 里山に迫る本当の危機
著者等紹介
田中淳夫[タナカアツオ]
1959年大阪生まれ。奈良県在住。静岡大学農学部林学科卒業後、出版社、新聞社等勤務を経て、現在フリーの森林ジャーナリスト。主に森林・林業や田舎暮らしをテーマにした執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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makimakimasa
3
ゴルフをした事の無い森林ジャーナリストが、ゴルフ場の自然環境を調査した本。そもそも植生の少ない欧州や砂漠の多い米国と比べて、土地の安い森林を切り開いて造成する日本ではゴルフ場に対する風当たりは強い。ただ造成中の土壌流失や河川汚濁という問題はあるにしても、造成後に森林率が増加したケースや、芝生のCO2吸収量はそれ程低くない実態(森林の7割以上)、農薬の品質改善と使用量減が紹介され、結論ゴルフ場の環境保全力を評価している。人影が消え崩壊する里山の代替機能とまで期待されているが、ゴルフ嫌いの自分には複雑である。2019/03/11
シュラフ
0
日本のゴルフ場は2,432ヶ所、年間延プレー者数は8,800万人(H1年はゴルフ場1,722ヶ所で延プレー者数8,996万人)。ゴルフ場については環境破壊の批判があるが、著者は、ゴルフ場は環境破壊ではなく、むしろ「現代の里山」づくりであると主張。今後の課題としてはプレー者以外への開放ということも検討されるべきであろうと思われる。尚、日本ゴルフコース設計者協会のHPによれば、ゴルフ場は災害時の避難場所として最適、食料危機時には全国のゴルフ場を農地転用することで年間で約100万人分の食料確保が可能とのこと。2012/07/16
sakanaga
0
ゴルフ場=「経営された自然」として生態学入門。多岐に渡りコンパクト。2009/10/16
Kentaro
0
ダイジェスト版からの要約 ゴルフ場建設で真っ先にイメージされるのは、森林破壊である。ところが、ゴルフ場が造成されると、芝生はそのまま固定化され芝生でなくなることはない。芝生の有機物生産量を面積で割ると、1ha.当たり約9.6トン。林地の場合は、13.2トンだ。一見芝生は、地面に薄く生えているだけなので高木が林立する森林とは比べようもないほど生長量(生産量)は小さいように思いがちだが、そんなに負けているわけではなかった。森林の7割以上になる。里山を破壊すると忌み嫌われてきたゴルフ場を、里山の救世主にできる。2018/08/06