内容説明
司馬遼太郎をはじめ、今や誰もが一八六七年の「革命」(=明治維新)を肯定的に語る。けれども、そうした歴史評価は価値中立的ではない。なぜか。内戦の勝者である薩長の立場から近代を捉えた歴史観にすぎないからだ。「靖国史観」もそのひとつで、天皇中心の日本国家を前提にしている。本書は靖国神社創設の経緯をひもときながら、文明開化で儒教が果たした役割に光をあて、明治維新の独善性を暴きだす。気鋭の歴史学者が「日本」の近代史観に一石を投じる檄文。
目次
第1章 国体(国体の本義;寛政の改革;天祖の創出;祭政一致国家という言説;戦闘者としての武士の再興;天壌無窮の信仰;国体明徴運動;平泉澄の歴史認識)
第2章 英霊(靖国の祭神;誰が英霊なのか;幕末の英霊たち;「英霊」の原義;藤田東湖)
第3章 維新(維新の本義;革命と相違;万世一系の創出;「中興」のあと;武家政権についての歴史認識;ナショナリズムの勃興)
著者等紹介
小島毅[コジマツヨシ]
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学人文社会系研究科助教授。専攻は、儒教史、東アジアの王権理論。2005年に発足した文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「東アジアの海域交流と日本伝統文化の形成」の領域代表を務める。多岐にわたる研究領域をかろやかに往還し、近代史をラディカルに問いなおす気鋭の歴史学者として脚光を浴びている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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