ちくま新書
哲学者の誕生―ソクラテスをめぐる人々

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  • サイズ 新書判/ページ数 308,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480062499
  • NDC分類 131.2
  • Cコード C0210

内容説明

哲学はソクラテスとともに始まったとされている。だが、著作を何も残さなかったソクラテスが、なぜ「始まり」となったのか。紀元前三九九年の刑死後、ソクラテスとは何者かをめぐってアテナイで政治的緊張が生じ、論争が起こる。そこでソクラテスをめぐって展開された言論活動が、プラトンら遺された人々を哲学の誕生へと促したのである。今なお多くの問いを誘発するソクラテス裁判とその後の事情、そして「ソクラテス文学」として残されている様々な作品や、初めて紹介される断片の読み解きを通して、「哲学」と「哲学者」誕生のプロセスを描く。

目次

第1章 ソクラテスの死―プラトン『パイドン』の語り
第2章 ソクラテスと哲学の始まり
第3章 ソクラテスの記憶
第4章 ソクラテス裁判をめぐる攻防
第5章 アルキビアデスの誘惑
第6章 日本に渡ったソクラテス

著者等紹介

納富信留[ノウトミノブル]
1965年生まれ。東京大学文学部(哲学科)卒業。同大学院博士課程を経て、91年‐96年、ケンブリッジ大学大学院古典学部に留学(Ph.D.を取得)。九州大学助教授を経て、慶応義塾大学助教授、国際プラトン学会実行委員
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

99
ソクラテスに決定的な転換を帰する従来の哲学史観を疑問視しながら彼の生を哲学者として誕生させた経緯を辿る。巨大視の主な原因は資料不足だが、何一つ書かなかった彼が多彩に実像を歪められるだけの鏡のような特性を持っていた証でもある。無理に像の統一を図るのではなく、時代の知的状況を丹念に説明することでありのままの姿で彼らを輝き出させるのも本書の狙い。プラトンやクセノポンらの反実仮想表現に着眼して意図や弁護の綻びを示す件は冷静な考察力が効いているし、アルキビアデスへの深入りや日本人に多い誤解の指摘も熱がこもっている。2021/08/31

iwasabi47

3
納富信留「ソクラテスは何故死刑を受けたのか? (「古くからの告発への弁明」を中心に) 」(2016年度学術俯瞰講義「古典は語りかける」第4回) https://youtu.be/SWigShvfbmI2021/05/31

Y.O

2
お世話になっている方の著書です。そういう間柄を抜きにしても、非常に素晴らしい本で、何回も読み、数多くのヒントをいただきました。哲学者ソクラテスと対話することで哲学を始めるきっかけにして下さい。2009/04/16

そーすけ

1
302*副題通りの本。ソクラテス以前、以後という区分けは適切ではないとのこと。不知を自覚するソクラテスは、プラトン独自のソクラテス像。ソクラテスの仲間たちは、敵対者には団結して対決するも、仲間内でもライバル意識があった。「無知の知」という標語の誤り。ソクラテスをめぐる人々について、詳しく知れた。2016/11/20

葉紗

1
ソクラテスという人物を、「弟子たち」という視点から切り込んでいる本です。プラトン、クセノフォンなど著名な弟子達はもちろんのこと、その他にもパイドンやアンティステネスなど小ソクラテス学派と呼ばれる哲学者、そして、クリティアス、アルキビアデス、カルミデスといった政治家まで取り扱っています。特に印象的だったのが、一章割かれて取り扱っているアルキビアデスのこと。彼とソクラテスの複雑怪奇な関係を、政治と哲学の拮抗、という重大なテーマのメタファーともいえる関係に捉え直したプラトンは、さすが天才哲学者だと思います。2014/06/30

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