内容説明
四国八十八カ所を巡る「お遍路」がブームだ。その数は老若男女を問わず年間十数万人にのぼる。観光バスや巡拝タクシーはおろか、ヘリコプターを利用するものまで登場した現代遍路にあって、自らの足で巡り歩く「歩き遍路」の数も着実に増えている。「巡礼は道中にあり」という言葉が示すように、道すがら出会う地元の人々や同じ歩き遍路との交流なくして巡礼の醍醐味は得られないからだ。いつの日か四国を歩いてみたいと考える未来のお遍路さんに向けて、知られざる四国遍路の実相を伝え、巡礼を「癒し」の一語で括ろうとする時代風潮に舌鋒鋭く迫る異色の遍路入門。
目次
序章 転機創造の歩き旅のススメ
第1章 歩き遍路の旅支度
第2章 歩き遍路の新知識
第3章 巡礼から見た現代
第4章 歩き遍路の鉄則五カ条
終章 お遍路さんの未来
著者等紹介
加賀山耕一[カガヤマコウイチ]
1956年生まれ。ノンフィクション作家。23歳夏に四国一周の歩き遍路を敢行。塾講師を経て37歳の春に二度目の遍路。旅で出会ったユニークな人々との交流を通じて自己の生い立ちを見つめ直す『さあ、巡礼だ』(三五館)を上梓する。テーマを問わず、ひそやかな笑いを誘う世相寸評を織り込む独特の作風をもつ
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感想・レビュー
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S.Mori
12
実際にどれぐらいの費用がお遍路に必要になるか書いてあるので参考になります。徒歩で回った場合は50万円ぐらいかかるそうです。読み終った後にネットで調べたら、今でもこの金額はほとんど変わらないことが分かりました。屋根のあるところで眠れることがどれほど有難いかと書いてある部分が印象に残っています。それから蝮を追い払うために金剛杖は必要だと分かりました。お遍路は宗教的な行動とは言え、現実的にならなければやり通せないことが分かっただけでも、この本を読んで良かったです。2019/11/21
tomtom
3
四国遍路関連の書籍は数多くあれども、もっとも幅広く、漏れなく、その云われや起源、比較に筆者自身の体験談を織り交ぜて解説しており、新書とはかくあるべしとの内容にまとまっている。これ一冊で知識は十分。さすが元塾講師。私も区切り打ちを始めることになったのだが、「歩き遍路鉄則五箇条」には大いに頷くところがあった。現在、野宿遍路は相当肩身が狭いが、筆者の頃と比較してどうなのか知りたかった。参考文献の表示も親切。バブル崩壊からミレニアムにかけてブームであったことがよくわかる。次は高群逸枝『娘巡礼記』を読んでみたい。2016/09/21
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