内容説明
欲望を滅尽し死を超越する道とは。時代の半歩先を読む。
目次
第1章 自らその意を浄める
第2章 悪魔との対話
第3章 不死の門は開かれた
第4章 法輪を転ず
第5章 この身は泡沫のごとし
第6章 一切にわがものなし
第7章 生きものたちに幸いあれ
第8章 善き友とともに
第9章 空飛ぶ鳥に迹なし
第10章 仏に帰依す
第11章 安らぎの境地
第12章 自らを灯とせよ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
15
執着を捨てるのです!2015/06/11
白義
14
生涯一人の人間として周囲を思いやり、極論を排し、執着から離れることを説き続けたブッダの人生、思想を原始仏典からの引用も多々まじえ平易に語っている。世界の有無限や死後の世界の有無など、形而上学的な世界の話をそれは断定できないことであるとして明言せず、あくまで生の苦しみの解消を目指した彼の思想は当時のインドの哲学事情にあっても珍しく、思想の百家争鳴の中で改めて人の生をニュートラルに捉えたことが支持を得た理由かとも思えた。代表的な仏弟子の話もあり、中でも夫や子も含め一族が滅んだ尼僧キサーゴータミーの悟りが印象的2017/11/06
roughfractus02
6
ブッダが生きた時代は、都市国家同士の争い同様、思想も各派に分かれ、真理を巡って相手との論争を明け暮れていた。ブッダは、各派の共通背景には苦に満ちたこの世界があり、そこから苦を逃れるための真理の奪い合いが生じてくると解する。一方ブッダは、真理を巡るこの権力闘争が他者を否定する思考に依存し、その根本には自己への執着があると捉える。苦の世界を変えるには、まず自己執着と他者否定の思考の軸を動かす必要がある。本書は、ブッダが他者を肯定する慈悲を中心に据え、八正道の実践へと自己の思想を練り上げる過程を平易に素描する。2021/04/05
ジュリ
4
経典の内容を引用しているものは解説が難しいものがあるけれど、この本は優しくわかりやすく解説してくれている。2018/10/03
xuxu
2
『スッタニパータ』理解の助けになるかと思い読む。ブッダの人生と思想が易しく説かれている。講義が元とあって読みやすく、分かりやすかった。ブッダ自身が語った言葉が沢山引用されているので人間ブッダに親しみが持てる。ブッダと弟子たちとの交流にも心暖まるものがある。孔子しかり一流の思想家は一流の教育者でもあるらしい。著者の自在な引用によって、韻文作品としての経典の魅力に開眼した。手始めに初心者向けという『ダンマパダ』を読みたい。 2019/03/29