ちくま新書
台湾―変容し躊躇するアイデンティティ

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  • サイズ 新書判/ページ数 254p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480059185
  • NDC分類 222.4
  • Cコード C0222

内容説明

中国大陸の東南、東北アジアの西南、東南アジアの東北に位置するこの島は、いわば海のアジアと陸のアジアの「気圧の谷」。アジア史の大きなうねりの中でその歴史を刻んできた。20世紀後半、経済発展と政治的民主化を得た台湾は、いま、どこへ行こうとしているのか―中国との平和的共存は可能なのか。東アジアにおける国際的役割とはなにか。日・米との関係は―緊張続く台湾の現在と未来を、濃密な歴史を掘り起こし、現代アジア史に位置づけ直すことによって解き明かしてゆく。

目次

第1章 「海のアジア」と「陸のアジア」を往還する島―東アジア史の「気圧の谷」と台湾
第2章 「海のアジア」への再編入―清末開港と日本の植民地統治
第3章 「中華民国」がやって来た―二・二八事件と中国内戦
第4章 「中華民国」の台湾定着―東西冷戦下の安定と発展
第5章 「変に処して驚かず」―「中華民国」の対外危機と台湾社会の自己主張
第6章 李登輝の登場と「憲政改革」
第7章 台湾ナショナリズムとエスノポリティクス
第8章 中華人民共和国と台湾―結びつく経済、離れる心?
第9章 「中華民国第二共和制」の出発

著者等紹介

若林正丈[ワカバヤシマサヒロ]
1949年長野県生まれ。1972年東京大学教養学部卒。1985年東京大学博士(社会学)。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授(地域文化研究専攻)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おとん707

12
台湾の歴史は先住民の歴史から始まるが一般的台湾人は中国大陸南部から移住が始まった400年前からと認識しているらしい。これら本省人に外省人と呼ばれる本土からの戦後移住者とそれに続く国民党とともに来た人々。最も多い本省人は南部の中国語を話し、さらに日本語化された人々。対して外省人は北京語でこれを蒋介石は国語としたため本省人にとっては日本語から馴染みのない北京語になっただけ。しかも蒋介石の同化政策は過酷で本省人は日本の犬の方が外省人の豚よりましだったと感じたとか。台湾人の「親日」にはこうした背景もあるようだ。2024/09/21

ジュンジュン

8
中華民国の時代(1945年~)をメインに、陳水扁総統誕生(2000年)まで扱う。劇的な道を辿った民主化は、独立でも統一とも違う”特殊な何か”を生み出した。「躊躇するアイデンティティ」とは見事なネーミングチョイスだと思う。2020/11/07

無重力蜜柑

5
清末以降の台湾の通史。二十年前の本なので政権交代まで。本省人と外省人のエスニックな対立の内実、世界史上でも類を見ない長期戒厳、中華人民共和国と瓜二つな党国体制、しかしそれらが李登輝という有能な指導者のもとで民主政体へソフトランディングしていく過程。まとまっていて最初の一冊としては悪くない(対象年代が古すぎるという問題はある)が、後半にいくにつれて誤字脱字・乱文悪文が加速度的に増えていきドンドン読みにくくなる。校閲が間に合わなかったのか? 一回読んだだけでは意味が通らない文さえある。編集部仕事しろ。2021/12/22

サブロウ

2
「陸のアジア」から「海のアジア」へと変化していくのが、台湾の近現代史であるとする。そこで残されるのは、多様な出自を持つ「国民」と東アジアの安全保障環境、中華民国としての台湾の出自などがあってただのネイションとは違う、アイデンティティの問題である。 民主化以後を「中華民国第二共和制」と名付け、あくまでも中華民国を保ちつつ民主化へと政体を変化させたとする。その背景にはまさしく変容し躊躇するアイデンティティの問題が横たわっていて、民主化以後もそれはより大きなものとして問題になり続ける。2021/11/29

きやっち

2
部分的に読み辛く一部端折りながら読了。 特に美麗島事件の記述が苦痛。2015/02/18

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