内容説明
高校・大学生の学力低下が社会的に問題になっているが、憂うべきなのは知識量の低下よりも、自ら考えるための思考力の低下である。大学受験国語は、限られた条件の下での出題とはいえ、高校の「国語」よりもはるかにバラエティに富む。心ある出題者が、思考の最前線に幾分かでも触れてほしいと願っているからだ。数ある受験問題の中から良問のみを厳選した本書は、たくまずして現代思想のすぐれたアンソロジーとなった。それらを解いてゆくことで、受験生、大学生、ひいては社会人にも、思考力が身につく、明快な一冊。
目次
序章 たった一つの方法
第1章 世界を覆うシステム―近代
第2章 あれかこれか―二元論
第3章 視線の戯れ―自己
第4章 鏡だけが知っている―身体
第5章 彼らには自分の顔が見えない―大衆
第6章 その価値は誰が決めるのか―情報
第7章 引き裂かれた言葉―日本社会
第8章 吉里吉里人になろう―国民国家
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
36
空欄補充に抜き出し、四択…元の文章は読んだことがあるものも多いし、普通に面白いのだけれど、問題にされてみるとまあ間違うこと間違うこと…。高校時代、現代文は好きだったけど試験になると三振かホームランか的なギャンブル科目だった悪癖を思い出さされてしまった。いや、自分の経験紐づけて速攻文意とろうとしてしまうぶん(そしてある程度できてしまうぶん)症状は重くなっていそうだ。たまには、じっくりと文章につきあうこともせねば。◇受験国語の問題文の内容のほうに注目した解説は端的でわかりやすい。あ、受験英語も内容は同じかも。2018/03/07
さきん
31
出題者へストレートな批判があって出題者も読んで見た方がいい。大学受験にかこつけて著者が言いたいことをかき並べた感はあるが、近代、教養、自由について的外れたことはいっていない。難点なのは字が小さ過ぎること、分厚過ぎること。新書な内容ではない。2020/01/04
そうたそ
21
★★★☆☆ 大学受験の国語問題を解きつつ、教養を深めようではないかという一冊。受験生だった時のような差し迫られたようなものものなく、問題をストレスのない状態で解けるのは楽しい。当時は出された問題をひたすら解くだけで、問題文や設問そのものを吟味するということは当然なかった。本書では出題者等々への容赦ないつっこみがなされており、確かに当時は質の悪い問題も、単に難しい文章だと思って解いていたのかもしれないな、と懐かしんだ次第である。2020/01/25
ステビア
20
流石に古臭さは否めない2021/05/31
三井剛一
18
文書を読む際の距離の取り方を学ぶことを目的に書かれた一冊。思考の座標軸を多く持つことで、文章を位置付け、相対的に捉えられる。二元論で、捉えるのは思考の基本。受験の評論では、二元論が誕生した「近代」が頻出。「自由」「個人」「世俗化」「合理主義」がキーワード。また4章の「身体論」が特に興味深かった。メルロ=ポンティ、鷲田清一、上野千鶴子それぞれの対比が、心身二元論を基に展開されわかりやすくかった。それぞれの著作を読んでみたくなった。2025/11/27




