内容説明
象徴天皇に歴史的アイデンティティはあるのだろうか?象徴天皇の物語を紡ぎだしてきた津田左右吉・和辻哲郎・石井良助・三島由紀夫という思想家たち、大嘗祭に天皇制の宗教的な核をみいだした柳田国男・折口信夫という民俗学者たちの論を検証しながら、その根源に厳しくせまる。
目次
神と人間のはざまに
象徴
全体意志
不親政
文化概念
村の祭り
天皇霊
象徴の涯てに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らぱん
19
平成の初めに書かれた本書は、結果的に平成天皇の先行きについても論じているが、天皇制に対して明るい未来を予想していない上に(意外だったが)昭和天皇は人気があったので平成天皇はどうかなどとそこは結ばれていた。また、象徴天皇は戦後の新憲法以前からあったレトリックだったことは意外だった。個人的な興味は坂口安吾の項と三島由紀夫の項だった。基本的には著者の思索の開示であり結論めいたものはないが、各論は歴史的変遷などで、総論としてはタイトル通り、象徴天皇とはひとつの物語だということになろうか。2019/04/11
双海(ふたみ)
13
何だろう・・・これは・・・。2014/05/24
うんとこしょ
3
非常にスリリングな書物。天皇制というシステムを捉えるとき、天皇という個人に焦点を当てるのではなく、天皇が存在する支配共同体をみなければならない、という指摘はその通りだと思う。換言すれば、いかに天皇という個人が無害に見えようとも、天皇は民衆を束縛する支配階級の一端として歴史的に存在してきた、ということである。2018/01/05
t78h1
1
著者の天皇大嫌いという感情が先行しており、論証が甘くなっているのが残念である。2013/09/24