内容説明
奥州八戸に船問屋の倅として生まれた睦五郎が、相次ぐ苛烈な不幸に見舞われながらも才覚を生かして活躍を遂げ、その孤独な生涯を終える「野辺地の睦五郎略伝」、近藤勇率いる甲陽鎮撫隊の柏尾山における戦いを、その昔博徒の父に背負われて目撃した一老人が物語る話など、時代の流れのなかでひたすら生きてゆく名もなき人々の姿を描いて深い感銘を残す、独自の境地の歴史小説集。
著者等紹介
井伏鱒二[イブセマスジ]
1898年、広島県福山市生れ。本名満寿二。はじめは画家をも志すも、やがて文学に専心し、『鯉』『山椒魚』で文壇に登場。独自のユーモアと哀感ただよう多くの作品を書いた。1993年没
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