内容説明
広沢虎造の映画出演をめぐって発生した山口組二代目襲撃事件や、鶴田浩二殴打事件の裏側など昭和の興行界を知りつくした伝説の男・永田貞雄。炭鉱街に生まれ、浪曲界に君臨し、日本プロレス協会創立に深くかかわり、外タレを招く“呼び屋”としても活躍したのであった。人間の夢と欲望、虚と実とが渦巻く興行の世界を描いた傑作ノンフィクション。
目次
第1章 芸能とやくざ
第2章 力道山と顔役
第3章 呼び屋というビジネス
第4章 浪曲渡世
終章 最後の興行師
著者等紹介
猪野健治[イノケンジ]
1933年滋賀県生まれ。新聞・雑誌の記者、編集者を経て、フリーのジャーナリストとして活躍中。とくに、やくざ、右翼、総会屋などをテーマにした分野では、先駆的な役割を果たすとともに、現在も第一線で取材・執筆をつづけている
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感想・レビュー
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kinupon
41
今の興行界では考えられない時代ですね。命を懸けた興行ですね。2020/02/24
GO-FEET
3
佐賀の杵島炭鉱で生まれた永田貞雄が、初代天中軒雲月の弟子となり、浪曲の修行をへて興行師として独り立ちするまでを描いた「第四章 浪曲渡世」のみ読了。いやぁ~、ホンマにちょっと前まで〈浪曲〉というのは大人気の芸能やったんやねぇ。これは隔世の感あり……2023/09/25
章魚 たこ
2
伝説の興行師・永田貞雄を描く大作。鶴田浩二とか美空ひばりとか力道山とか・・・そこらあたりがやっぱ面白いね、メインの浪曲界はほとんど知らないこともあってちょっと・・・2020/05/16
ちあき
2
『昭和の侠客』にも重要人物として登場する興行師、永田貞雄について書かれたノンフィクション。大正・昭和の芸能史をおさえるにはおそらく必読文献。炭坑夫たちをたばねる納屋頭の息子として生まれた永田が、浪曲の修行をへて興行師としてひとりだちするまでを描いた第四章「浪曲渡世」がいちばんおもしろい。ここから第一章「芸能とやくざ」へと立ちもどり、プロレスの大立者となる経緯を描く第二章、海外からタレントを招く「呼び屋」としての活躍にふれた第三章と読みすすめた方が見通しがよいだろう。2009/09/11
おたきたお
0
永田貞雄は、昭和という一時代を駆け抜けた人。一言でいうとそういう印象を持ちました。かつては浪曲が芸能の頂点であったことを、この著作で知りました。『猛牛(ファンソ)と呼ばれた男―「東声会」町井久之の戦後史』(城内康伸 著、新潮社、2009年)にも、永田に関する記述が出てきます。それは、力道山がデビューする頃のことです。 2009/07/24