内容説明
縁が丸くなったコの字のカウンター、木の丸いす、黒光りした柱や天井、掃き清められた土間、大型の木製冷蔵庫…。魅力的な主人やおかみさんと常連の客たちが、長い年月をかけ練り上げてきた空間に浸り、酔った。人が酔うのは酒ばかりではない。東京の場末、個性ある隠れた酒場46店を呑んべえ三人組が飲み歩く、これぞ「酒場愛好家」の必読書!第19回「雑学出版賞」受賞。
目次
第1章 煮込みには焼酎が似合う
第2章 泡盛が奏でる至福の時
第3章 店構えに吸い寄せられて
第4章 豊潤なるもつ焼きの世界
第5章 これが下町の酒場だ
第6章 都の北は宝の山
第7章 泪橋は今宵もふけて
第8章 門前、街道沿いに憩いの店
著者等紹介
大川渉[オオカワワタル]
1959年生まれ。大阪で育つ。主宰するサイト「散人雑報」で酒場や本に関するコラムを発信中。ちくま文庫版『織田作之助短篇集』の編集と解説を担当。立ち飲み屋の探索を続けている
平岡海人[ヒラオカカイト]
1961年香川県生まれ。北海道在住。今春、某川の支流で幻の魚イトウ(80センチ)の産卵現場に立ち会い、心底シビレる。札幌名物のスープカレーが気に入り、スパイスのマジックを探求中
宮前栄[ミヤマエサカエ]
1954年生まれ。東京・中野で育つ。情報誌「angle」でB級グルメの店巡り、名所紹介の記事をかつて担当。炎の魔術師と呼ばれ、キャンプの焚き火が大好き
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬佳彰
8
今、手元にないが、好きな本だった。下町の酒場46店(本の紹介より)を紹介した本。おそらく多くの店は、すでに閉めてしまっているんだろうな。出版は平成らしいが、どうしようもなく「昭和的」なものを感じるのは、どうしてだろう?というか、こうした本のページをめくっていると、平成なんぞ存在しなかったような気がしてくる。所詮、昭和生まれのおじさんだからなあ。こうした店では、人同士が、決められたマニュアルごしでなく、きちんと会話できたんだろうなあ。と、懐かしんでばかりも居られぬが。
Bob
3
グーグルマップを使いながら読んでみた。赤提灯が下がる、コの字のカウンターがあるような酒場のことが書かれている。大半の店は閉店されているようで少し寂しかったが、なぁに、今ある店も徐々に古くなって味わい深くなっていくのだから心配はいらない。 表紙の写真は山谷のドヤにある店だ。ここにはいったことがある。気難しいと言われるオヤジさんがやっているが、静かに飲める。戦前の酒場はこんな作りだったに違いない。不思議な空間だった。一時期は純米吟醸酒にハマっていたが、最近は安い酒場で飲む燗酒が美味く感じるようになってきた。2022/10/07
misui
2
どんな幻想小説よりも濃密な瞬間が時折ある。泡盛酒場の「乙姫」は南條竹則先生も書いていたような。行ってみたかったな。2024/03/27
Pochi
2
もう今はなくなっている店も多いのだろうな。古き良き店がたくさん紹介されています。2014/08/12
禿頭王
1
再開発に負けない、下町の昔ながらの酒場を紹介。読み進めるうちに、お酒を一杯飲みたくなる不思議な本。ただ、紹介されている酒場は、すでに閉店になっているところも数多い。「下町酒場」はあと数年でなくなるんだろうなぁ…2020/01/15