ちくま文庫<br> ふるさと隅田川

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ちくま文庫
ふるさと隅田川

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  • サイズ 文庫判/ページ数 232p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480036148
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0193

内容説明

幸田文は人生に三度、隅田川のほとりに暮らした。最初は、生まれてから二十歳まで向島で、次に嫁ぎ先の新川で、そして作家になってから休筆して赴いた柳橋である。日々の暮らし、また重要な転機の折々に、川は彼女を育み、癒し、励ました。「川すじの思い」「水辺行事」「船内屋さん」など、隅田川を主に、「水の風景」をテーマにしたセレクションである。

目次

第1章 育む水(川すじの思い;川と山のにおい;地がね;川のほとけさま;用という字;蜜柑の花まで;雪;川すじ;流れる)
第2章 暮らしの水(水辺行事;廃園;蓮地のふるさと;みずばち;船内屋さん;あだな;ゆうだち;湿地)
第3章 海への憧れ(夕日と〓;鯨とり;濡れた男)
第4章 暴ぶる水(二百十日;川の家具;地しばりの思い出;鳴戸観潮;水の力;崩壊雑談;そのあと)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

106
この作家は自分の感覚を独特の言葉で表現できる作家だった。その瑞々しく、新鮮な言葉を読んでいると心が洗われる心地がする。「どおっと降る。たちまち往来に人がいなくなって、雨と雨の音だけになる。いきなり光って、鳴る。こうなってはおそれおおくて、御通過を待つ間しばしは、縮んでいるよりほかない」(「ゆうだち」より)。夕立を描いた文章だが、本当に個性的で幸田文しか書けないものだと思う。御通過という表現がユーモラスだ。この作家にとって自然は一つの人格を持った存在で、自分に深く結びついていたのだろう。2017/03/31

ワッピー

4
隅田川のほとりで暮らした体験が、水というものへの畏敬と親しみをはぐくんできたのでしょう。普段は穏やかに見えても、事あればうねり、荒ぶり、巨石をも転がす水のエネルギーにとりわけ注目しているように思われます。ワッピーも台風のエネルギーにテンションが上がるほうでしたから、二百十日に生まれて嵐に思い入れ深い幸田さんに共感します。水は美しく、恐ろしい。しかし、人はそこから離れて生きることはできない。抑え込んだと思っているのは、人間の驕りですよね。2017/05/21

あ げ こ

2
綺麗も汚いも、いいも悪いも、思い出のすべてを受けとめた言葉は優しく、時にキリリと厳しい。いい悪いを超えた先に存在する強いもの、美しいものを認める姿勢。ハッキリと小気味よい物言い。読後はいつも清々しい。幸田文と言う人は、青々と澄んだ川のようである。若い時分には当然、ドロドロと濁ったものも持っていたはずと思う。だが歳月を経て、熟す心とともに、汚れ、濁りは徐々に薄まった。自身の変化を素直に認め、水は青々と色を変える。汚れも濁りも知ったその川は、真に美しい川であるように思う。2013/09/09

hitsuji023

1
雰囲気のある文章がいい。同じようなテーマなので、後半少し読み疲れ。2019/08/30

tsu55

1
隅田川のほとりに生まれ、二十歳になるまで向島で暮らした幸田文の、隅田川を主とした水辺にまつわる作品を集めたアンソロジー。 水辺に近い農村であった向島の蝸牛庵での生活が、幸田文という人間と作品の特徴を作り上げたということを、この本によって改めて知らされた。

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