内容説明
1933年、ケストナーの本はナチスに焼き捨てられた。執筆を禁じられるなか、彼は子どものために広く知られたお話を語り直す仕事を続けた。「ほらふき男爵」「長靴をはいた猫」「ガリバー旅行記」…。リズムがちがう。光の当て方が微妙にちがう。これ見よがしの新解釈を持ち込んだりはしないのに、すべてが新しい。おなじみの物語の裏で、ケストナーの諷刺とユーモアがきらめく。挿画多数。
目次
ほらふき男爵
ドン・キホーテ
シルダの町の人びと
オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
ガリバー旅行記
長靴をはいた猫
著者等紹介
ケストナー,E.[ケストナー,E.][K¨astner,Erich]
1899~1974。ドイツの作家。はじめは諷刺詩人。新しい感覚と機知あふれる文体で脚光をあびた
池内紀[イケウチオサム]
1940年、姫路市に生まれる。ドイツ文学者
泉千穂子[イズミチホコ]
1965年、京都市に生まれる。翻訳家。東京大学大学院比較文学比較文化専攻博士課程中退。専攻ドイツ児童文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
51
ケストナー独自の「ほらふき男爵」かと思ったが再話集。ナチス・ドイツによる弾圧で執筆・出版を禁止されたケストナーが考えたのが再話で、1938年に発表された絵本「オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」は昔から知られているおなじみのいたずら話だが、その話の奥にケストナーの新たな風刺とユーモアがきらめいている。「ほらふき男爵」「ドン・キホーテ」「シルダの町の人々」「ガリバー旅行記」「長靴をはいた猫」は戦後に発表されたものだがケストナーの風刺は健在。2023/08/17
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
35
解説を読んで、初めて作者の意図が理解出来た。ただただ楽しい子供向け童話(ドイツの民話をケストナーが自分流に書いたもの)というわけじゃなかったのか……と。2016/02/25
ともりん
2
「シルダの町の人びと」のおおらかさ、おバカさん加減がとても癒される。騙されることへのリスク回避をするよりも、概ね善に囲まれているのだから、受け入れて、なお気にしない人になっていきたいものである。2016/06/25
刳森伸一
2
ケストナーによる再話6篇。子供向けなので、『ガリバー旅行記』や『オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』などかなり毒気が抜かれているところは評価の分かれるかも。個人的には少し物足りないが、これはこれでありかな。2014/02/04
さおちゃん
2
最初は、訳がどうかな…と思ったけど、音読してみたらすごく良い感じでした2009/07/19