内容説明
ひそやかにそこにある、オブジェ、ドローイング、そして文章。独自の美術活動をつづけている内藤礼がていねいにつくった小さな美しい本。オールカラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fishdeleuze
18
小さく、淡く、刹那く、ときおり射す程度のけして溢れすぎない光の束。しんとした静けさの中、ふと「祝福されている」という感覚が訪れる。とてもとても強い感覚に思える。小さな美しい本。2015/01/02
スミス市松
10
手書きで書かれた著者の文章は、とても繊細で、静かで、それでいて、やさしい。ゆっくりと、暗い夜みたいな場所を進んでいく。その先に、生み出される作品があるのかもしれないと思った――「はっとした 突然 シャボン玉に虹が宿っていた しかも 無数のシャボン玉がすべて同時に あたりは漆黒から濃紺へと変わっていた そのとき わたしはいま祝福されている と思った そのことがずっと気にかかっている はじめてテントの内に入ったとき あのときと同じきもちになった 曖昧さをたよりにして 近くへ行くことにした」2013/11/17
donut
5
「手のなかの毛糸(中略)手がその力の置き場をなくし ただもだえるばかりだ」という部分は、まさに内藤礼作品を観た時に感じるむず痒さを表している気がする。水面や光といった自然現象をじっと観察し、自分の身体や存在と世界との関係を探っていくような思索は「わたしはいま祝福されている」という肯定的な境地へと向かっていくものの、どこか儚く寂しい雰囲気を帯びている。「奇跡の生まれたその瞬間がわたしのまわりでたえまなくあふれている それもふざけているみたいに」2019/10/05
弟子迷人
3
うん、内藤礼は、文字も「作品」だよね。
♋︎
1
間接照明のなかで読む。2020/03/10