出版社内容情報
室外機、ダクト、通信鉄塔、消波ブロック、ダムなど、都市をつくる15の断片。ハッとする写真とちょっとマニアックなテキストは、「私たちの〈日常〉とは何か?」という問いをじわじわと浮かび上がらせる。撮って歩いて考えてまた撮る──。その繰り返しでたどり着いた、静かな熱狂。絶景よ、そこにいたのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
106
テレビの番組の中で話題の本として紹介されていた。さっそく読んでみた。日常にある人工物の見方を変え近づいたり離れたりすると絶景として見えるという趣旨。感じたのは写真として面白いが文章がちょっと堅い感じ。よく似た本に、赤瀬川原平氏らによる路上観察学会のトマソンのほうがもっとくだけて面白がっていて好きだなあ。自分の街もよその街にも人が住み、人が活動するところには必ず絶景は出現する。それを感じ取るか感じ取れないかは人によってちがうだろう。図書館本2022/05/12
とよぽん
49
ドラマのことは知らなかったが、タイトルが気になって図書館に予約。「知ってる街」は少なかったが、自分の住んでいる地元富山県の写真も載っていたので、意外な見方をされていると感心した。外国の例もあったし、生活に溶け込んでいる建物や施設、特にエアコンの室外機、ビルの非常階段、外付けダクトなどの形状なり質感なりが面白かった。2023/12/10
ホークス
40
2021年刊。日常の隠れた絶景の写真集。毎日を楽しむ参考になる。視点を変えれば現れるものは、例えばリサイクルボックス(ペットボトルや缶の)。投入口を目と見なせば自販機に寄生する生物が現れる。普段見すごしているものは、例えば擬木や擬石。過剰な演出に著者は「おもねり」や「いつわり」のおかしみを見る。ビルの裏や屋上の配管群は「内臓」と呼ぶ。論理の産物なのだが、増設されると場当たり感が加わり面白い。ビルの避難階段や立体駐車場は、ループや連続する造形が目を惹きつける。土木物件では砂防ダムが苦労人ぽくて好き。2025/02/02
奈良 楓
21
【良かった】デイリーポータルZ的な日常にうもれているもののよく見るとはっとさせる風景写真集。砂防ダムと消波ブロックが印象に残りました。2022/05/18
kuukazoo
20
ビル壁の室外機やパイプやダクトの配列の妙、自販機に寄り添うリサイクルボックスの表情、謎の段差など身近な都市の風景から消波ブロック群、砂防壁、ダムなど海や山の土木構造物まで、そこにあるけど見過ごされているものの数々。誰が何のために作ったのかなぜそこにあるのか何という名前なのか知らないものが世界にはたくさんあり、それらの存在に気づき向き合いナニモノかを知ることで世界の解像度が上がると、日常は結構面白いモノであふれてるなと思えるようになるのかな。個人的には磨耗した消波ブロックがお気に入りである。2023/08/31