内容説明
スポーツを、人間が創造した文化の一領域としてとらえる虫明スポーツ論を核に、肉体と精神の微妙な関係を研ぎ澄まされた文章で描くスポーツ小説・エッセイを収録。
目次
第1章 亜呂無の香り(風よりつらき;夜明けの豹;海の中道;ペケレットの夏;タンギーの蝶;シャガールの馬)
第2章 スポーツ小説の匂い(肉体への憎しみ;青春とスポーツ)
第3章 対談 スポーツ・人間・風土(井上ひさし)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Miho Haruke
2
端正な文体でスポーツと人間関係を描いた小説やエッセイ。いっけん村上龍ふうにも見えて決定的に異なる。濫読児童だった頃なんと不思議な名前!と手に取ったときは片岡義男かと思い全くぴんとこなかったが、30年以上たって読み直して、この作家は全部読まなければと決意した。(片岡義男も全部読まなければと決意している、それがなんだということはないが)「肉体関係」というクレイジーケンバンドの楽曲があるが、スポーツも恋愛も確かに肉体関係でありもちろん精神関係なのだ。頭が悪いとスポーツはできないし体を使わないと恋はできない。2012/07/31
siomin
1
「美文家」といったらこの作者だと思っていますが,スポーツに向き合い,肉体への眼差しを描いた作品を集めたこの一冊もすばらしい。この作品に取り上げられた短編は大抵良くない結果に終わっているのも注目するところ。2023/02/09