内容説明
「スコブル」や「滑稽新聞」などで言葉遊びやパロディを展開して、文字のツラで意味の世界をぶっ叩き、お上に対しては「テんで話にならぬ大馬鹿者…」「テ柄にもならぬ事を威張る…」と痛烈な批判をあびせた反骨ジャーナリスト、宮武外骨。美学校の階段教室や武道館、後楽園球場を会場に、現代の外骨・赤瀬川原平がそのスーパーモダンな雑誌表現を講義する“学術小説”。
目次
宮武外骨ってこれ、人の名前か何なのか
スコブルおかしな雑誌である
入獄4回、罰金と発禁で29回
むしろ滑稽投票を可とす
私はまだ女子大生にはなりたくない!
私、ついに外骨となる!
いよいよ「滑稽新聞」である
紙の上のパフォーマンス
文字のツラで意味の世界をぶっ叩く
死とエロス、そして死とグロス
闇に隠れた門の中の音は見えない
明治空間へのワープ
外骨先生かく語りき
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
61
大阪の民俗を色々調べていた時に、明治時代に宮武外骨なる人物がいたことを知りました。興味を持ったので読んでみました。宮武外骨なる人、要するにジャーナリストです。ですが、出版物はとてもアナーキー。コンプライアンスはまるで無視です。当時の政局事情は、現代とは全く異なります。ゆえに、何度か投獄もご経験されたとか。しかし、歯に衣を着せない辛らつな風刺を通して、帝国時代に言論の自由を強く訴えていたのではと思う。正統派アナーキストかも知れない。2018/06/06
中年サラリーマン
22
宮武外骨個人よりは彼の発行した雑誌に焦点を当てた本。彼の発行した雑誌は現在でいえばフォーカスとかアサヒ芸能とかにあたるだろうか。昔も今も大衆の興味は変わらないし大正からそんな雑誌があったことに驚きだ。しかし、現代の雑誌と異なるのは少し筆が過ぎると監獄にぶち込まれること、写真技術が未熟なので文章技術に頼らないといけないこと。そういう意味でいうと宮武の雑誌は魂がこもっている感じもする。おすすめ。2014/03/05
猫丸
16
実家に死蔵されていたものを持ち帰り再読。1991年文庫版。僕が外骨を初めて認識した本だ。桐生悠々と並ぶ本邦ジャーナリスト代表である宮武外骨。その作品を赤瀬川原平が紹介したら面白いに決まっている。滑稽新聞の表現技術解説を軸に、雑誌文化が現代芸術に最接近した奇跡を読者とともに驚き呆れるのである。外骨のテクニックは大正期に継承され、戦後は70〜80年代雑誌に隔世遺伝したと思われる。ビックリハウス廃刊が1985年。宝島最盛期も80年代中盤ではないか。世代的にギリギリ間に合わなかったが、残照はVOW等に観測できた。2021/12/09
Lisa Tada
8
面白かったー!!ベルツの日記(下巻)を【日露戦争】の記述を読むのが面倒臭くなって放り出しているが、宮武外骨の滑稽新聞の【日露戦争】に関する内容には、もう、腹がよじれるほど笑った。本を読んでこんなに笑ったのはいつぶりだろう。人生は短い。若い頃のようにはもう読書できない。どんどん自分にとって面白い意味あるものを読んでいきたいとしみじみ思った。ちなみに、宮武外骨及び滑稽新聞のことは小学生の時に知り、権力に物おじせず反骨を通す人だと思っていたが、今回詳しく読んで、ぜんっぜん。単に、【徹底的に面白い人】だと知った。2022/08/13
XX
7
トマソンの赤瀬川原平が、ノリノリでコスプレまでして滑稽新聞の宮武外骨を解説・紹介した本。とても面白い。宮武外骨は決してイデオロギーに乗っ取ったつまらない反体制派なのではなく、真にラジカルで自由な魂を持つ規格外の表現者だったのだとよく分かった。退屈な解説文にせず、メタな小説にしたのも読みやすく正解。架空対談も面白かった。唯一の欠点は、図として引用された滑稽新聞の字が小さすぎてとても読みにくいことだ(復刻版・滑稽新聞を買ってねということかな)。2025/04/07