内容説明
人間はなぜ忘れるのだろう?忘れることには、一体どんな意味があるのか?「老来、忘れっぽくなった、その腹いせに“忘れ”を俎上にのせてまじまじと見てやろう」という著者が、今までとかく無視されがちだった“忘れ現象”に独自の光を当てて、人間が人間であることの意味を深く見つめる、洒脱な哲学的エッセイ。
目次
序章 記憶のヒキダシ型とマリモ型
記憶とブラック・ホール
忘却の空白と糸
空間感覚の成り立ちかた
喪失した自分
〈忘れ〉と自由な構想
忘れた何かが呼んでいる
身のたけにあった言葉で
丈夫すぎるのもよくない
傘を忘れること
発掘された安万侶墓誌
山の神まつりのひながた
終章 あるかなきかの煙
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
57
日本には「水に流す」という習慣からミソギによりケガレがなくなればきれいに忘れてしまう。 いつまでも怨みを持ち続けるよりよいかもしれないが、熱しやすく冷めやすいのも程度問題。 特別定額給付金騒動のその後はどうなったのか。マスコミも、野党も順調に進んだ案件は何もなかったようにあえて「黙殺」している。 敢えて考えないことは精神衛生上でよいことかもしれないが、感染爆発これからも起きることについて想像力を働かせる必要がある。 観光立県の某自治体は、観光客による蔓延への対策をまるで考えていなかった。