出版社内容情報
超大国による「正義」の濫用、世界的な規模で広がりゆく貧富の格差……。こうした中にあって「グローバルな正義」の可能性を原理的に追究する政治哲学の書。
内容説明
世界では今、貧困が原因で一日に五万人近い命が失われている。他方で二〇〇三年には超大国アメリカが、恣意的な口実でイラク侵攻を正当化し、非戦闘員を含めて少なくとも十万人ものイラク国民が戦死している。世界貧困という巨大な問題が放置され、自国に有利な「正義」が跋扈する現代世界。国ごとに「正義」が異なり、国境の内外でも異なるという現実。こうしたなかで、「国境を越え、覇権を裁く正義」としての世界正義はいかにして可能か。本書は、この問いを原理的・包括的に探究する法哲学の書である。
目次
第1章 世界正義論の課題と方法
第2章 メタ世界正義論―世界正義理念の存立可能性
第3章 国家体制の国際的正統性条件―人権と主権の再統合
第4章 世界経済の正義―世界貧困問題への視角
第5章 戦争の正義―国際社会における武力行使の正当化可能性
第6章 世界統治構造―覇権なき世界秩序形成はいかにして可能か
著者等紹介
井上達夫[イノウエタツオ]
1954年、大阪生まれ。77年、東京大学法学部卒業。現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。法哲学を専攻。著書に『共生の作法―会話としての正義』(創文社、サントリー学芸賞受賞)、『法という企て』(東京大学出版会、和辻哲郎文化賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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