筑摩選書
災害弱者と情報弱者―3・11後、何が見過ごされたのか

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  • サイズ B6判/ページ数 222p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784480015464
  • NDC分類 369.31
  • Cコード C0336

出版社内容情報

東日本大震災・原発事故をめぐる膨大な情報を精緻に解析、その偏りと格差、不平等を生み出す社会構造を明らかにし、災害と情報に対する新しい視座を提示する。

内容説明

東日本大震災・原発事故後、私たちはおびただしい量の情報に曝された。錯綜する情報は人びとの不信を誘発する一方、時間とともに被災者を置き去りにして移ろい、結果として社会的弱者を生み出していった。本書では、3・11後のマスメディアおよびインターネットの膨大な情報を精緻に解析、その偏りと格差、不平等を生み出す社会構造を明らかにし、「災害」と「情報」に対する新しい視座を提示する。

目次

序章 おびただしい情報とどう向き合うか(情報の洪水のなかで;本書の視点)
第1章 災害弱者―3・11被害とその背景にある社会(現代社会におけるリスク分配と不平等;災害と災害弱者 ほか)
第2章 情報弱者―震災をめぐる情報の格差(被害格差、経済格差、情報格差―情報をめぐる二つの格差;震災・原発事故をめぐる情報格差 ほか)
第3章 震災後3カ月間の情報多様性(メディア上の議題を捉えること;情報空間の多様性―情報の渦のなかで ほか)
終章 「私たちが持つべき視点」の獲得に向けて(再び、弱者に関して;「いま議論すべきこと」は誰が決める?―議題設定と議題構築 ほか)

著者等紹介

田中幹人[タナカミキヒト]
1972年静岡県生まれ。国際基督教大学教養学部理学科卒、東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系博士課程修了(博士(学術))。現在、早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース准教授。(社)サイエンス・メディア・センターリサーチマネージャー

標葉隆馬[シネハリュウマ]
1982年宮城県仙台市生まれ。京都大学農学部応用生命科学科卒、同大学院生命科学研究科博士課程修了(博士(生命科学))。専門は科学技術社会論、科学計量学。現在、総合研究大学院大学先導科学研究科「科学と社会」分野助教

丸山紀一朗[マルヤマキイチロウ]
1987年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒、同大学院政治学研究科ジャーナリズムコース修士課程修了(修士(ジャーナリズム))。現在、(株)キャリアブレイン勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takizawa

7
丁寧なデータ分析が印象的な本。タイトルから想起されるイメージとは異なり、本書で用いられている調査・分析の弱点については明確に述べ、その上で何が言えるか・何が言えないかを示してくれる。東日本大震災ではソーシャルメディアが注目され、新聞など伝統的メディアへの評価は厳しい。しかし実際には、まったくの自然状態(twitter)では情報が偏ってしまい、むしろある程度の編集行為が介在したほうが(新聞やYahoo!トピックス)情報の多様性を維持できる、との結論が導かれている。各々のメディアの特性を知っておくことが大事。2012/08/18

3
情報弱者にならない為にはどうあるべきかという本だった 弱者には、つらい世の中だ ソーシャルメディアの普及とかで情報が氾濫してる。 ますますメディアリテラシーが重要になってきた、メディアリテラシーには、最低限の知識が必要。2012/09/08

鎌倉 幸子

2
3月3日に福島県白河市で行われた図書館総合展フォーラムin白河で、南相馬市立中央図書館の副館長・早川光彦さんが紹介してくれた本です。「風化」、「メディアが伝えてくれない」というが、受け手が無意識に自分の都合の良い情報しか組まなくなっているのではないか、あふれる情報をどうさばいて「編集」しているのか。実際、新聞、ポータルサイト、SNSはどのような情報をどのタイミングで流したのかを伝える研究書。タイトルを見れば東北に住む人たちが情報弱者ではないかととらえてしまうが、それ以外の地域も自ら「情報弱者」のなっている2014/03/15

壱萬参仟縁

2
中堅、若手研究者による3.11後の社会問題とその課題を整理された好著。この本にもベックの『危険社会』(1998年)の引用があり、この本のインパクトの大きさもわかる(019ページ)。写真、地図、データが適宜盛り込まれ、現実をリアルに描写しているので臨場感ある。被害や経済や復興を巡る各種格差に加え、情報格差を問題化したのが071ページ~の第2章。デジタルデバイドともいえるが、主婦が子供の健康を心配して市民科学者といて地域の線量を調べ、記録したことの方が、科学者よりも説得力をもつと思う評者からすれば複雑な心境。2012/09/19

kozawa

2
災害時の第1章は災害弱者という切り口だが、その後は(特に災害における)情報弱者と各種メディア(マス、ソーシャル等)がどうだったのか、分析等しているので、ソーシャルメディア論系に興味がある向きでも読んで参考になる点はあるのでは2012/08/23

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