内容説明
計画通りに物事がすすむことが「当たり前」になりつつある現代社会。何事も「ああすればこうなる」という予測のもと行動する。しかし、病や死、天災など思い通りにならない現実に直面したとき、うろたえる人間がそこにいる。「当たり前」が「当たり前」でなくなるとき、どう生きていくべきか?現実とは、世界とは、何であるか?解剖学の第一人者が「脳」からひもとく人間の生きざま。
目次
第1章 脳の中に住む人間(ヒトを見る目;ヒトの構造;自分を知る)
第2章 「現実」は現実か(女性と子どもが割を食っている;脳の中にないものは存在しない;「現実感」の持ち方)
第3章 無意識の表現(人工化の波;いま身体が欠けている)
第4章 「まとも」が遠のく(かけがえのないもの;一周遅れのランナー人生)
著者等紹介
養老孟司[ヨウロウタケシ]
1937年、鎌倉市生まれ。1962年に東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。1995年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。1989年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょん
6
なんと自分が新人だった頃に仕事でかかわった講演会でのお話しが含まれている本だった。感慨深い!その時から言われていた、生老病死(自然)が忌むべきものとなり、それらを徹底的に排除し都会化された日本。この世界は脳で考えたものを表出させたもので、身体感覚が全く失われた世界。まさに今のメタバース、バーチャルリアリティを言い当てている。本当に求めているのは身体の動き、生の、一筋縄ではいかない自然を受け止めること。こうやってズバズバと理科系の方に論理的に解説してもらうとすんなり腑に落ちるんだよなぁ。2023/09/11
Go Extreme
1
脳の中に住む人間: ものがわかる≒役には立たない 骨と端は同じ構造 個体発生的・歴史的説明 脳化社会 共通了解可能性 家畜化する人間 現実は現実か: 哺乳類→女性に 生も自然でない 逆さに考える→当たり前 能が世界を決めている 好き嫌い・バイアス 無意識の表現: 好きは係数大 ビュリダンのロバ 音楽・美術ー言葉そっくり 修行・道・型 人生ー取り返しつなかい決断の連続 まともが遠のく: 現実は1つ・思いこみ リアリティ=真善美 現在が未来を食う 理由がよく分からない一生 手入れの感覚 メメントモリと諸行無常2024/09/03
はな
1
脳は何かを現実と認める存在。章のタイトルを見返し、そういう意味かと。 わたしの現実 そのものだけにこだわる必要はないのかもなど、めぐらせながら読む。 好き嫌いはバイアスなのか。 学問っておもしろい。 2024/02/17
もっちゃん
0
つくづく子どもたちが生きづらい時代になっていると感じた・・・。2024/12/05
星辺気楽
0
虫の話が少なかったのは良かった。2024/10/31