内容説明
六二歳で町奉行に大抜擢された根岸肥前守鎮衛。肩には、無頼時代に彫った赤鬼の刺青が光る。綽名は「大耳」。さまざまな人脈からもたらされる裏情報が最大の武器なのだ。その大耳に入った奇談を集めた『耳袋』の著書でも知られる根岸だが、極秘版の『耳袋秘帖』をひそかに記していた。江戸に起きる怪事件の謎を次々解き明かす痛快お裁き帖。
著者等紹介
風野真知雄[カゼノマチオ]
1951年、福島県に生まれる。立教大学法学部卒業。1993年、『黒牛と妖怪』で第一七回歴史文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
112
62歳で奉行に就任した実在の人物の捕物帳あるいはミステリー仕立ての物語です。岩波文庫で「耳袋」は読んでいるのですが、その著者を主人公にしてシリーズ化したのは慧眼です。私は再読ですが、途中でやめてしまっていました。この中には5編の短編が収められていて奉行になった経緯やそのやっかみでの話など楽しめます。鬼平についても触れられていてやはり奉行への志向はあったように書かれています。2017/10/03
ゆみきーにゃ
86
シリーズ一作目。ずっと読みたかったシリーズ。南町奉行に抜擢された根岸肥前守がすっごくいい味出しており一気読み。坂巻と栗田のコンビも目が離せないしこのシリーズは追っていきたい。2022/01/03
ままこ
85
奇譚を集めた随筆集『耳袋』で有名な根岸鎮衛が町奉行になってからの事件簿。『耳袋』は望む者には読ませていたが『耳袋秘帖』は誰にも読ませない。飄々とした根岸肥前が奇妙な出来事に隠された真実を掘り起こす。字も大きめでサクサク読める人情時代小説。坂巻と栗田のコンビは好感が持てる。今後も活躍期待。2019/01/13
タツ フカガワ
60
若いころは無頼の徒として荒んだ暮らしを送っていたものの(そのころ背中に赤鬼の彫り物を入れたらしい)、御家人の家に養子に入った後は抜擢に継ぐ抜擢で、62歳で南町奉行に就任、以後18年間も続けたというのが主人公根岸肥前守(実在の人物)。飄々としてつかみどころのないキャラクターもいいし、さくさくと読み進む語り口も好感。深夜居室で亡き妻の幽霊と語り合う場面もよかった。早速シリーズ2作目へ。2024/06/24
kagetrasama-aoi(葵・橘)
39
「耳袋秘帖シリーズ」第一巻。「赤鬼奉行根岸肥前」シリーズの第一作目。宮部みゆき氏の「霊験お初捕物控」を読んで根岸肥前守に会いたくなりこのシリーズを再読することに。根岸肥前守は時代小説では良く登場するキャラクターです。作家さんによって色々な様に描かれますが、基本的に還暦を過ぎて南町奉行に就任して活躍しますよね。このシリーズの根岸さまはとっても洒脱で大好きです。直属の配下となる栗田次郎左衛門と坂巻弥三郎も良いですよね。二人ともに数え年で二十八歳、独身です。二人がこれからどんな恋をするのか楽しみです。2024/06/02