出版社内容情報
顧客と出会う最初の15秒で,最大満足を提供せよ! 失速寸前のスカンジナビア航空の業績を急浮上させた男が語る斬新な経営哲学。
内容説明
顧客と市場が経済活動を主導する時代が到来しつつある。航空運輸、自動車、半導体、金融サービスといった分野で、賢い消費者と新たな競走相手が、旧態依然とした企業に圧力を加えている。市場が先導するこの転換期に対処するには、組織・機構の変革が、つまり「顧客本位の企業」につくり替えることが必要だ。現場から隔絶した、統制的な上意下達のリーダーシップでは、企業は生き残れない。
目次
第1章 真実の瞬間
第2章 ヴィングレソール社とリンネフリュ社の再建
第3章 スカンジナビア航空の再建
第4章 真のビジネス・リーダー
第5章 戦略の策定
第6章 ピラミッド機構の解体
第7章 リスクへの挑戦
第8章 意思の疎通
第9章 取締役会と労働組合
第10章 業績の評価
第11章 社員への報奨
第12章 第二の波
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小木ハム
17
1990年、スカンジナビア航空社長の経営再建。【ビジョンの浸透】取締役会、経営陣、組合、従業員の四者へ。トップ自ら。しつこく。【現場責任感】客室乗務員ら最前線で働く社員に意思決定権と責任を持たせる。成功時の評価。失敗時の許容体制も。【顧客本位】『お客様のため』なら職域を越えて問題解決にあたる。中小零細では当たり前だよねな事ばかりだけど、大きな会社だと難しいのかな。30年前の本なので解釈の重軽で『ブラック労働だ!』と言うヤツが現れるのが現在の世論だろうか。本書の弁だとそういう人は真実の瞬間を掴み損ねます。2020/09/11
Koichiro Minematsu
15
MOTは顧客サービスを考えるには、非常に重要なことと思った。元々は闘牛でのマタドールの最後の一擊がお互いの生死の瞬間にあることからきているようだが、企業の生死を分けることが、この顧客重視のサービス提供にあるのは、まさに現代社会を反映している。考えさせられる良書でした。2017/09/30
Iso
14
二人の石工の話を確認するために再読。仕事を依頼するときは全体のビジョンをつたえ、完成予想図が全員に伝わることが大切。 「真実の瞬間」無形サービス業なので、昔書いたレポートには、この言葉よく使いました。2014/08/03
tkokon
11
【選択と集中】経営とは選択と集中である。どういう意味か、というのは本書を読むとよくわかる。カールソン氏は、あらゆる集中をしている。顧客の集中(ビジネス顧客に特化)し、『真実の瞬間』と呼ぶ決定的な顧客接点での対応を良くすることに集中する。権限や裁量権も現場に「集中」する。徹底してやり続けることが、同社の成功の秘訣なのだと感じた。こういう内容が、平易で力のある言葉で語られる。「ロニアの谷」の話が印象的。人には飛ばなければならない時があるのだ。2014/06/20
mackane
11
赤字に陥ったスカンジナビア航空を、わずか一年で再建した、ヤン・カールソン自ら記した著。「真実の瞬間」とは、顧客がスタッフと接する平均15秒の瞬間のこと。そのたった15秒のために、経営戦略を定め、全ての資源を集中、社内体制も改変した、その手法を紹介する。要のサービススタッフが最上のサービスをできるよう権限委譲するが、そのためには目標とビジョン、サービスコンセプトを心から理解されていなければならない。ヤン・カールソンがすごいのは、その明快な目標設定と社内・社外へ理解させるための演出力だ。非常に勉強になった。2013/10/31