現代日本の公務員人事―政治・行政改革は人事システムをどう変えたか

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現代日本の公務員人事―政治・行政改革は人事システムをどう変えたか

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  • サイズ A5判/ページ数 288p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784474065895
  • NDC分類 317.3
  • Cコード C0031

出版社内容情報

一連の政治・行政改革で、中央省庁及び地方自治体の公務員人事システムがどのように変化したかを実証的に分析し、今後の展望を示す。90年代以降の一連の政治・行政改革の下で、中央省庁及び地方自治体の公務員人事システムがどのように変化してきたかを実証的に分析し、また、今後どのようにあるべきかを示した、研究者や自治体人事担当者のための書。

○公務員人事研究の分野で評価の高い11名の研究者による執筆

○国及び地方の公務員人事システムについて、様々な角度から分析

○今後の公務員人事を取り巻く課題に焦点を当てて実証的に分析し展望を示した

○研究者や自治体人事担当者が公務員人事制度のあり方についての知見を深め、政策提言をするための一助となる書

はしがき
執筆者一覧
目次

序章 日本の公務員人事と人事行政研究
1 本書の目的
2 日本の公務員人事をめぐる改革動向
3 日本の公務員人事をめぐる研究動向
3.1 国家公務員人事に関する研究
3.2 出向官僚人事に関する研究
3.3 地方公務員人事に関する研究
4 本書の構成
4.1 国家公務員編
4.2 地方公務員編

第1部 国家公務員編

第1章 官僚人事システムの変化と実態
1 本章の目的
2 日本の官僚人事システムの特徴とその変化
2.1 管理の論理に着目した研究
2.2 政治の論理に着目した研究
2.3 官僚人事システムをとりまく存立条件の変化
3 人事データによる実証分析
3.1 分析対象としての自治官僚とグループ別人事管理
3.2 使用データに関する説明
3.3 自治官僚のキャリアパス
3.4 遅い昇進システムの検証
3.5 キャリアパスの制度化の検証
4 官僚人事システムの展望と課題

第2章 官僚人事システムと「仕切られた専門性」──専門官の人事システムの構造と展望
1 本章の目的
2 専門官の多様性
2.1 俸給表による分類
2.2 採用方法による分類
3 専門官の人事システムの特質と変遷
3.1 グループ別人事管理と専門官
3.2 専門官の任用・給与体系の変遷
4 専門職試験の創設と専門官の人事システム
4.1 専門職試験の創設
4.2 専門職試験と専門官の人事システム
5 総括と展望

第3章 公務員の専門性強化の試み──韓国の専門職位(専門官)制度を事例として
1 研究目的
2 公務員の現況と専門性低下の問題
3 補職循環の現状とZ型の循環補職
4 人事革新庁の誕生と専門職位(専門官)制度の導入
5 結論と示唆

第4章 幹部人事と政治介入制度
1 本章の目的
2 幹部人事と政治介入制度に関する先行研究──戦前から1980年代まで
3 2度の政権交代と政治介入
4 1990年代以降の政治介入制度(1)──閣議人事検討会議と人事の閣議承認
5 1990年代以降の政治介入制度(2)──内閣人事局
5.1 内閣人事局をめぐる法案制定の過程
5.2 内閣人事局による政治介入の程度
6 第二次安倍晋三内閣以降の政治介入制度の運用実態
6.1 外務省の人事から──首相との距離
6.2 厚生労働省の人事から──女性登用と府省間交流
7 政治環境との交差と政治介入の程度の変化を測定することの困難さ──文部科学省の人事から
8 総括と展望

第5章 出向人事研究の現代的意義
1 本章の目的
2 出向人事の研究動向と論点
3 2000年代以降の出向人事の変容
4 出向人事の研究から何が得られるのか
5 総括

第2部 地方公務員編

第6章 自治体における閉鎖型任用システムと「開放性」
1 本章の目的
2 自治体における閉鎖型任用システム
2.1 閉鎖型任用システムと開放型任用システム
2.2 閉鎖型任用システムと法制度
2.3 閉鎖型任用システムの運用実態
3 「開放性」をもたらす変化──採用システム改革
3.1 採用試験における年齢制限の緩和
3.2 経験者採用の進展と多様化
4 「開放性」をもたらす変化──任期付職員制度
4.1 任期付職員制度の創設
4.2 任期付採用の進展
5 総括と展望

第7章 ポスト分権改革時代における自治体の職員採用
1 本章の目的
2 自治体の職員採用を巡る動向
2.1 受験者数及び競争率の変化
2.2 採用試験の見直し──「学力重視型」から「人物重視型」へ
2.3 地方分権改革と「受験者負担軽減型」採用試験の登場
3 受験者数の減少に伴う採用試験の新たな潮流
3.1 2010年代における受験者数の減少
3.2 民間志望者の取込み──質的拡大から量的拡大への転換
4 「受験者負担軽減型」採用試験の実施状況とその効果
4.1 2017年度における採用試験の実施状況
4.2 「受験者負担軽減型」採用試験の実施状況
4.3 「受験者負担軽減型」の導入効果
5 「受験者負担軽減型」採用試験の課題
5.1 受験者数が増えれば優秀な人材を確保できるのか
5.2 公務員志望者と民間企業志望者の違い
5.3 採用時のミスマッチを防ぐ取組み
6 総括と展望

第8章 遅い昇進の中の隠れた早い選抜──自治体ホワイトカラーの昇進パターンと組織の機能
1 本章の目的と視点
2 調査の内容と方法
3 4県の部長級昇進者の経歴
3.1 同期採用者のキャリア分析
4 TMS理論と組織
4.1 TMS理論の展開
4.2 一層の展開と昇進構造への含意
4.3 人事課、財政課の機能と職員の昇進
5 隠れた選抜方式の特徴と課題

第9章 特別職の議会同意と人事行政──なぜ議会は同意しないのか
1 首長の補佐職としての議会同意人事
1.1 議会同意の対象となる人事
1.2 副知事・副市区町村長の同意人事
1.3 行政委員会委員の同意人事
2 なぜ不同意となるのか
2.1 首長への不信任による不同意
2.2 業績評価による不同意
2.3 外部人材の登用による不同意
2.4 中立性と公平性を問う不同意
3 不同意人事と自治体行政の環境変化
3.1 地方分権改革との関係
3.2 議会改革との関係
4 不同意人事の増加と人事行政への影響
4.1 自治体行政の担い手をどのように確保するか
4.2 議会同意を必要としない特別職人事の広がり

第10章 大規模災害時の職員応援システムの展開──一般行政職等の自治体職員を事例に
1 災害対応と自治体応援職員
2 一般行政職等の自治体職員による被災地の応援についての制度と先行研究
2.1 災害時の人的支援をめぐる制度
2.2 災害時の人的支援をめぐる先行研究
3 自治体応援職員に関する制度の展開
3.1 災害対策基本法の制定
3.2 阪神・淡路大震災
3.3 東日本大震災
3.4 熊本地震
4 災害時における人的支援システムの変化とその要因
4.1 災害の規模
4.2 地方分権改革の展開
4.3 組織の指揮命令系統
4.4 国の役割
5 災害への対応と地方自治

第11章 非常勤職員の発言と処遇改善──二つの自治体の事例
1 問題意識
2 本研究の位置付けと分析課題
2.1 本研究の意義と分析枠組み
2.2 分析枠組み
2.3 分析課題
3 荒川区の事例
3.1 行政改革と職員数の適正化の動き
3.2 非常勤職員の組合結成
3.3 保育園における正規職員と非常勤職員の役割分担
3.4 非常勤職員の処遇改善
3.4.1 処遇改善をめぐる労使の話し合い
3.4.2 非常勤職員の処遇改善──六つの職層区分
4 市川市の事例
4.1 保育労の組織概要と組合結成の背景
4.2 正規職員と非常勤職員の役割分担
4.3 組合結成の効果
4.3.1 一体感の醸成
4.3.2 非常勤職員の処遇改善と現行の処遇制度
5 総括

参考文献一覧
稲継裕昭先生の略歴及び業績

大谷 基道[オオタニモトミチ]
編集

河合 晃一[カワイ コウイチ]
編集

内容説明

行政組織、官僚・人事行政研究の分野に実証的手法の大切さを注ぎ込んだ稲継裕昭先生に捧げる、11の珠玉の論文集。

目次

日本の公務員人事と人事行政研究
第1部 国家公務員編(官僚人事システムの変化と実態;官僚人事システムと「仕切られた専門性」―専門官の人事システムの構造と展望;公務員の専門性強化の試み―韓国の専門職位(専門官)制度を事例として
幹部人事と政治介入制度
出向人事研究の現代的意義)
第2部 地方公務員編(自治体における閉鎖型任用システムと「開放性」;ポスト分権改革時代における自治体の職員採用;遅い昇進の中の隠れた早い選抜―自治体ホワイトカラーの昇進パターンと組織の機能;特別職の議会同意と人事行政―なぜ議会は同意しないのか;大規模災害時の職員応援システムの展開―一般行政職等の自治体職員を事例に;非常勤職員の発言と処遇改善―二つの自治体の事例)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

中将(予備役)

1
稲継先生還暦記念論文集。特に幹部人事の政治介入についてや国地方の出向についての論文が面白かった。前者は他の論者の視点と比較したい。ご近所韓国の公務員制度も興味深い。2024/08/27

バイオ燃料

1
関心ある採用関係のみ。有為な人材確保のための多様な試験制度は質的拡大を目指したが、受験者減少に伴い受験者負担を軽減する量的拡大へと転じた点の説明は自分の中のわだかまりを解消した。また、筆記試験縮小によりこれまで採れなかった人材を補完する点も説明力を持つ。だが、他でも言うような、採用のミスマッチを防ぐ素の職場紹介や、人材評価に基づく採用戦略を対策として挙げる点は理解に苦しんだ。今の潮流では悪手だし曖昧な評価基準でフィードバックはできない。なにより数が評価される中でのこの提言は受け止めきれなかった。2020/06/03

おはら

0
半分くらい読んだ。タイトルのとおり、1990年以降の政治・行政改革が国家・地方公務員人事にどのような影響を与えたのか?が本書のリサーチクエスチョン。研究書としてクオリティが高いと思った。2024/10/30

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