内容説明
中国より日本に喫茶法が伝わるとともに将来した唐物茶碗―。室町時代以来の天目や青磁が代表的な茶碗であるが、桃山時代には新たに人形手や染付の茶碗が見出され、江戸時代初期になると日本からの注文による古染付や祥瑞などの茶碗も愛玩されるようになった。数々の名碗、そして、唐物茶碗を考える上で重要な作品を取り上げ、その受容の歴史や美意識の展開を踏まえ、時代を追いながら紹介。
目次
第1章 唐物荘厳の世界―茶碗の格式・序列化(曜変天目(稲葉天目) 静嘉堂文庫美術館
曜変天目 藤田美術館 ほか)
第2章 茶の湯の展開と唐物の評価の変化―室町時代後期から桃山時代(灰被天目 銘 夕陽;灰被天目 銘虹 国(文化庁保管) ほか)
第3章 江戸時代における唐物茶碗(灰被天目 野村美術館;灰被天目 満田天目 ほか)
第4章 近現代における唐物茶碗の受容(玳玻屈輪天目 白鶴美術館;祥瑞洲兵茶碗 ほか)
総論 唐物茶碗の受容の変遷
感想・レビュー
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月音
1
堂々のオールカラー400頁超!(重っっ)名碗と呼ぶにふさわしい茶碗を各3~4頁、特徴、伝来、付属品、箱書きも入れて100点を茶の湯の歴史の流れに沿って通覧する。茶の湯の広がりに伴い生まれた道具の序列化と格式。それらを重んじつつ、決まりごとの中でどのように美意識、教養を見せ、かつ遊び心も取り入れるか。時代ごとの茶碗の変遷で、先人たちの好みや柔軟性が読み取れるのが面白い。曜変・油滴天目、玳玻盞、砧・珠光青磁、祥瑞などに、安南、宋胡録、オランダ陶器まで。とても甲乙はつけられないが、⇒続2023/03/16