内容説明
京都×江戸時代怪談=はじめての京都怪談本!
目次
第1章 女と怪談
第2章 怪談に名を残す人々
第3章 死にきれない強い執着
第4章 人ならざるもの
第5章 怪談の集まるところ
特別対談 東雅夫×堤邦彦―京都と日本各地の「怪談文芸」
著者等紹介
堤邦彦[ツツミクニヒコ]
1953年東京都生まれ。京都精華大学人文学部教授。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了(文学博士)。世の中の役に立たない(と見做されてきた)怪談研究をライフワークとする。2015年より怪談朗読団体「百物語の館」の元締として公演活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
63
京都に伝わる怪異を紹介した一冊。京都を舞台にした怪談の紹介本は数多いのだが、基本的にどの本も中心となっているのは平安の射干玉の闇ばかり。ただそれに比べるとこの本は一風変わっていて、江戸時代の京都の怪談を中心にまとめられている。その為初めて耳にする話が多し。紀州道成寺の鐘が京都にあることや、明智光秀が叡山を追放された坊さんの生まれ変わりとか初めて知りました。怪談の舞台となっている寺院の住職のインタビューもあり、そちらもまた興味深い。あまり目立たない江戸時代の京都にも怪談はしっかりと発生していたのであるなあ。2019/08/05
かおりんご
23
京都の怪談話か?と思ったら、どちらかというと歴史や寺社を巡るフィールドワーク。戦国時代には、よくこの川原で首を切られたとか、平安朝からの丑の刻参りのスポットだったとか。でも、それは、その当時の京都の中心部からしたら、鬼門や境界線の外だったとかで、なるほどと思う部分はあっても、怖さはない。私が一番怖いと思う、あの場所は取り上げられていなかったので、なんだかなあとも思った。2019/11/30
華形 満
8
京都という土地柄、遥か昔からの怪談話は多いだろうと想像は出来たが、それらが丁寧にまとめられていて大変読み応えがあった。豊臣の時代から上田秋成著作に至る瑞泉寺の話や、「牡丹灯籠」の原点である東寺に纏わる逸話など、あまり知られていない部分にスポットが当てられていて、まるで京都怪談ガイドブックの如き。「生首と旅する僧」の話には、下手なホラーよりもゾクッとなった。数えられない位訪れている京都だが、毎回ポピュラーな名所巡りばかりだったが、今度は本書を参考に、瑞泉寺をはじめ、京都裏スポット巡りをしてみよう。2019/08/31
そうさん
8
黄泉がえりの井戸が発見されたとは知らなかったので、驚いた。以前参拝した際には、不明だと聞いていたから…。他にも知らなかったことが知れて、面白かった。普通の怪談本ではなく、学術的な面から見た怪談について 書かれていて、新鮮だった。大学の時に、こういう授業を受けてみたかったと思った。2019/08/20
田中峰和
4
大学教授の堤氏とそのゼミ生が京都怪談の名所を巡礼する。怪談はその土地オリジナルに限らず他地域からの伝承も多い。中国発祥の牡丹灯籠も京都にある。東寺の塔頭「宝菩提院」に室町から江戸初期に写された牡丹灯籠の写本があるのだ。それをもとに江戸の作家浅井了意が京都版のものを書き上げた。舞台とされた万寿寺あたりは京都の三大風葬地として有名な鳥辺山に近い。それだけでも薄気味悪さが増してくる。怪談に限らず妖怪の話も京都には多い。鬼の出没とその退治の物語が見られる。人外のものとしては、狐など動物霊のものも京都らしい。2022/02/03