内容説明
現場に近づけば近づくほど、農家経済がそのほかの社会関係に埋没し、経済と社会が未分離の状態にあるという「社会に埋めこまれた個人」(ポランニー)という視点を大切にしなくてはならないと考えるようになった。このことは同時に、農家主体均衡論の欠点として「経営主体がいない」「家計主体がいない」「準拠集団がない」「時間概念がない」「経済行為としての農業と非農業に区別がない」などを強く意識せざるをえなくなり、それを乗りこえるような仕事に関心を抱くようになったことをあらわしている。本書は、まさにそうした問題意識のもとでつくられた諸論文を結集させたものである。『農家行動の社会経済分析』と名づけた理由もそこにある。
目次
第1章 農家主体均衡論の課題と展望:1975年以降
第2章 農家家族の平衡構造と散逸構造
第3章 農家の労働供給機構
第4章 農家女性の就業行動
第5章 稲作をめぐる組織と市場
第6章 稲作経営の課題と展開方向:イエ型集団とムラ型集団の進路
第7章 家族経営の存立条件と発展可能性:大規模水田経営を中心に
第8章 換地紛争の社会経済分析:ある集落の経験
第9章 中山間地域の稲作行動
第10章 農村・都市女性の生き方にみるプレモダン・モダン・ポストモダン