出版社内容情報
自分の性を肯定的に受け入れられない若い男性が増えている。その原因を探り、「男子の性」に関する教育を提唱する。
村瀬 幸浩[ムラセ ユキヒロ]
著・文・その他
内容説明
いま新たに問う、男子・男性の性のあり方。悩み多き男子の性の実態を明らかにし、再生への道を示す。
目次
第1章 意外なデータ―自分の性に対する肯定感調査から
第2章 自らの性への肯定感を阻むもの
第3章 射精の快感とセルフプレジャー
第4章 男子大学生は「男子の性」の講義をどう聞いたのか
第5章 女子大学生は「男子の性」の講義をどう聞いたのか
第6章 男子の性被害の重さ
第7章 柔らかな関係づくりと性的自己肯定感―快楽の性を見つめ直す
第8章 男子への性教育のエッセンス
第9章 「性教育のこれまでとこれから」そして「その後」
著者等紹介
村瀬幸浩[ムラセユキヒロ]
1941年11月2日愛知県名古屋市生まれ。東京教育大学(現筑波大学)卒業。私立和光高等学校保健体育科教諭として25年間勤務、この間総合学習科を兼務、「人間と性」を担当。1989年同校を退職し、同年4月より一橋大学講師、翌年より津田塾大学講師。科目は「セクソロジー」。1982年「“人間と性”教育研究協議会」の設立に参画、現在は同会の幹事、及び同会編集の「季刊SEXUALITY」誌(エイデル研究所刊)副編集長。日本思春期学会名誉会員、性の健康医学財団評議員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
乱読家 護る会支持!
6
久しぶりに出会った日本人必読の本。特に男子の性教育をきちんとしていない事が、男性の自殺が多いこと、引きこもり、少子化、離婚、DV、いじめ、性犯罪、、、あらゆる問題に関わっている。50を超えた、こんなオッサンでも、性についての悩みはあるのです。ましてや、思春期の男の子なら、自分や他人を深く傷つけてしまうかもしれない大問題。中学生ぐらいにちゃんと教育が必要。2014/08/15
おさと
3
男子でなくとも一読したほうが良い本。自分の身体への、パートナーの心と身体への理解をすることの大切さがわかる。2020/12/09
akubineko
3
すごく面白かった。男子が自分の性も相手の性も、「汚い」「理解できない」ものと考えている現実。それは、攻撃的な性、支配的な性しか出てこないAVを知識源として、正しい知識がない、教育がされていないことに、原因があるのだと分かった。恋愛、結婚になると男女が平等ではなくなるのが不思議だったが、きちんとお互いの身体やメンタリティを知り「セックスはコミュニケーション」という性教育が行われたら、DVや児童虐待も減るのでは?と考えた。性教育は人間関係教育だと思った。2014/12/11
ヤーミール
2
男性が自身の性について教育をほとんど受けられないこと、それらが自身の性への無知と自己肯定感の低さにつながり、結果として異性・同性との関係に悪影響を及ぼすことなどが書かれており、とても興味深かったです。自身の性にしても他人の性にしても、きちんと勉強しなければ知り得ない・理解し得ないものであり、それを「性についての知識は自然と身に付くものだ」として、自身の無知にすら気付かせない現在の性教育や、性に対する社会の姿勢には異議を唱える必要があると感じました。男子の性教育を通じて多様な人々の性についても学べる本です。2016/07/24
ざまたかこ
2
学生時代に村瀬先生の講義を受けて、英語や数学を学ぶように「性について学ぶ」のは面白いだろうなと思った。この本を読み終えてもそう思う。「自分の体のことだから放っておいてもわかる」ことなどない。学ばなければわからないことがたくさんあるのだ。 そしてもう一つ。女性は体について学ぶ機会も多いし、「女性学」「フェミニズム」みたいに女性であることを考える学問体系も比較的身近だけど、「男性学」って言葉の登場は比較的最近なのではないだろうか?男性が男性であることを考えるみたいなこともこれからは起こってくるのかもしれない。2015/03/11