内容説明
江湖をわたる侠客、空を飛ぶ剣客、恩仇のドラマと、痛快なバトルアクション…中華チャンバラ活劇の世界は、どのように形づくられたのか?唐代伝奇のファンタジーから、金庸・古龍の武侠小説まで中華アクションヒーローの系譜を追う。
目次
1 ヒーローが生まれる地平
2 空飛ぶ侠客―唐代豪侠小説のイマジネーション
3 江湖の豪傑たち―アウトサイダー世界の形成
4 清官と侠客―正義の裁きからチャンバラ活劇へ
5 塵外のヒーロー―剣仙と僧侠
6 戦う女たち―中華美少女戦士の系譜
7 武侠の黎明―旧派武侠小説の世界
8 エンターテインメントの王道―新派武侠小説の展開
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サケ太
20
歴史を紐解きながら、中国の文学作品からどの様に武侠小説が形成されてきたのか。唐代に女性が主人公のハードボイルド的な作品がかなり昔に生まれていたのは驚き。江湖、緑林、武林。アウトローの世界やアクション小説の原型の様な軽功の存在。独特な考え方、倫理観の一端に触れつつも、中国のエンタメ作品の面白さに嵌りたくなる。金庸、古龍、梁羽生の小説は再発行されませんかねぇ。アニメとかドラマにも手を出していくか。2021/05/11
Bo-he-mian
14
中国の大衆文学「武侠小説」を、歴史をひもときながら紹介。「武侠」という言葉は近代に、しかも日本人(押川春浪)が作ったらしい、という話にはビックリした。中国が西洋や日本など海外の文化を取り込んで近代化してゆく過程でスタイルを確立したジャンルだったのだ。とはいえ、その源流は遥か昔からあり、唐代後半(8~9世紀)には伝奇物語がせっせと創作されていたという。中でも、謎の老婆に誘拐された少女が山中で5年に亘り特訓を受け、空を飛び相手に気づかれず殺す凄腕の刺客に鍛え上げられる「聶隠娘」の物語にまたまたビックリ(笑)。2020/12/20
もち
3
とてもおもしろかった! 最近、琅琊榜にはまり、中国の武侠物に興味を持ちはじめた私に最適の入門書といったところ。いろいろと読んでいきたい。2019/12/22
かみかみ
2
中国に唐代から伝わる民間のチャンバラ小説=武侠小説の歴史と代表的作品を論じた本。なので、当然(?)、武侠小説は良く言えば型破りで自由奔放、悪く言えば荒唐無稽な作品が多いが、その型破りっぷりが半端ではない。こういった武侠小説の流れを経たものが20世紀の金庸、梁羽生、古龍の現代的な作品に繋がるということがわかって、勉強になると同時に非常に興味深い内容になっている。金庸の作品もかなり痛快ですからねえ… 。日本人には馴染みの薄い中国の武侠小説の解説書として優れた内容となっている。。2011/06/24
かるた
1
武侠小説というと、漠然と明清白話小説の系譜にあるのだろうと考えていたが、本書を読んでみて、そうしたイメージがあまりに曖昧であることに気付かされた。武術ヒーローといっても、唐代伝記や宋代の講話など来源は様々で、その形象も刺客から好漢、仙人など多岐にわたるようである。2021/02/03
-
- 洋書
- The Catalyst