目次
1(WHITE ALBUM;ever green;Dragon’s Lair;Honey Cake;wish bone)
2(blue blood;cocoa float;WALK ALONE)
3(For F;From F;Sun Shower)
4(in clover;Black Jack;by moonlight;Jail Break)
著者等紹介
土岐友浩[トキトモヒロ]
1982年8月、愛知生まれ。歌人、精神科医。京都大学在学時に「京大短歌」に入会し作歌をはじめる。2009年、瀬戸夏子、服部真里子、平岡直子、望月裕二郎、吉岡太朗の5人と同人誌「町」を立ち上げる。同誌は2011年に歌集『町』を発表し、解散。2013年より同人誌「一角」を個人発行している。2015年、連作“WALK ALONE”30首が第26回歌壇賞候補作品に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
24
土岐友浩 短歌 ときどきはうつむきながら川べりを走ってくれるバスに乗りたい ひと言を伝えるようにはらはらと時雨落ち葉をたたいて消える 自転車を橋の手前に停めておく川よカモメのとどまるところ 暗くしたホールのなかのいちまいのスライドに映されるみずうみ ゆるやかに降り出す雨の寄り道の神社に咲いているつぼすみれ 僕の手を離れて水になっている母を亡くした春の記憶は よく冷えた缶コーヒーを飲みながら違いがわかることのかなしさ 返歌 温かい簡易珈琲飲みながら違い分からず落ち込んでいる 2016/12/14
まぁみ
15
新鋭短歌シリーズの第2期の作品の中から、先日購入した二冊の内の一冊 (もう一冊は『硝子のボレット』)。驚いたのはお二人とも医師で歌人という共通点があったこと。びっくり。でも作品は、似ても似つかない色でした (性別の違いもあるかな)。土岐さんは優しい。選ぶ言葉も優しい。でもって分かりやすかったです、とても。いい出会いでした♪本棚が足りなくなって生活のところどころに本はあふれる/さっきまで鳥がとまっていたような配電線をたどって帰る/よく冷えた缶コーヒーを飲みながら違いがわかることのかなしさ2023/06/04
しなの
11
すーと溶け込むようにしみこんでいくうたの数々。今がつがつ読みたい歌集ではなかったけど、疲れ果てた冬の夜なんかに眠る前めくりたくなるかもしれない。2016/08/26
Kaoru Murata
11
土岐さんは精神科医。斎藤茂吉もそうであるが、短歌作品を読んだだけではおよそ医師とは思えない。永遠の好青年である。ご令室の大森静佳さんとともに現代歌壇の中核を担う存在になるだろう。/背のびして手を伸ばしても届かない青々とした葉に吹く風は/草や木や山は眠るというけれど海は眠りにつくのだろうか/てのひらを風にかざしているようにさびしさはぶつかってくるもの/ゆっくりと時は流れているけれどなにもできそうにない雨の日/階段を転がるように降りていく枯れ葉は風の靴であること2015/08/14
はち
8
再読。これまた全国大会に話題にした歌集シリーズ。(朝食の時に話題になりました。)歌集っぽくない表紙だが、だがそれがいい。軽やかに叙情する口語短歌のトップランナーであると改めて思うのであった。お会いしたことないけどいい兄貴みたいな人やと思う。2015/08/26