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内容説明
本書では中国と日本の伝統医学について、中国古代から日本近代まで、できる限り満遍なく記述するよう心がけた。執筆にあたってはとくに中国と日本の交流関係について重きを置いた面もあるが、一般向けの小著であるから、あまりに専門的なことや注を付することは控えざるを得なかった。とはいえ、従来の書にはない新出の資料を取り込み、私の新知見を多く述べ、図版も少なからず掲載した。ときにはエピソードも挿入し、多少なりとも楽しめるよう配慮した。
目次
第1章 中国医学の形成
第2章 よみがえる古代医学の遺物
第3章 神農伝説と『神農本草経』
第4章 『黄帝内経』と陰陽五行説
第5章 張仲景の医学
第6章 六朝隋唐医学と日本
第7章 宋の医学と日本
第8章 金元明清の医学と日本
第9章 江戸時代の医学
第10章 日本から中国へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
faux-stendhalien
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「漢方」とは中国伝統医学を指す言葉である。しかしこれは江戸期に作られた和製語であり、あくまで日本人が中国伝統医学を指して言う際に使用する(中国には「中医学」という言葉がある)。さらに現代では、日本で独自の展開を遂げ、日本で行われている伝統医学を指すのが慣例であり、中国で行われている伝統医学を指すわけではないので注意が必要だ。「日本漢方」や「漢方医学」と言う場合もあり、そしてそれは「東洋医学」ともほぼ同義。う~んややこしい。けど、自分が学んでいる学問の説明ができるくらいの知識は身に着けておきたいものですね。2013/12/20
葛宮詠
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もう少し詳しく知りたかった。2012/02/28
魑魅魍魎
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「黄帝内経」を始め,様々な典籍の歴史を紐解きながら,日本の漢方の受容の歴史を解説した書.日本側の記述に偏るコトなく,中国にも多くの記述を割いており,納得の良書.必要なトコロは五行説などの基本的な学説の解説が入ったり,様々な名医に纏わるエピソードが紹介されていたり,一般読者を飽きさせない.2011/11/06
米川青馬
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読了。中国医学と、それを輸入した主に江戸時代までの日本の医学についての通史がわかる本。タイトルには漢方とあるが、中国医学のもう一軸である鍼灸もそれなりに詳しい。少ないページ数で、要所要所を押さえつつ簡潔にまとめてくれている。中国と日本の医学について知りたい方にはとても役に立つはず。一番驚いたのは、丹波哲郎が日本初の医学書『医心方』を作った丹波康頼の子孫で、東京薬科大学の学長を祖父に持つ日本医学界の超名家の人だったということ。その家系は漢の霊帝にまで遡れるらしい。道理で、ただものでないわけだ。2011/10/17
samandabadra
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漢方が体系づけられた時期が気になって手に取った本。2000年以上前に作られた知識も多くあり、張仲景のように漢の時代に整理されたものもある。その後の時代に書かれたもの、さらに日本に渡った知識と、日本での独自の展開などに関する記述がみられる。最後に今ある中国の漢方は日本に残っていた中国に残る書物の写本より古い時代のものを、明治時代に中国から来た人々が持ち帰ったことにあることを知る。『神農本草経』に出てくる「下品の薬に頼るのは最後の手段で、本来好ましいことではない」(40頁)という思想があったことに共感する。 2019/11/26