内容説明
「本所・深川」界隈とは、鏡花、荷風の筆の向く先とはかなり実態を異にしていたようである。人々の暮らしの発信源として、時々刻々、すこぶる光彩陸離としていたはずである。そこで、ここでは、こうした町筋を積極的に縫い歩いていた町場の話、つまりは街談、巷説、街の噂話ともいうべきものを爼上に載せた。具体的には“下町”を無台にした、一つの“物語世界”だといってもよい。名付けて“江戸東京の噂話”とした。
目次
1章 幸せを招く若者たち
2章 生まれ変わってきた子どもたち
3章 再生される噂
4章 変貌する都市型妖怪
5章 異界から現れるものたち
6章 駆けめぐる鼠と猫
7章 旅をする狸
著者等紹介
野村純一[ノムラジュンイチ]
1935年東京に生まれる。国学院大学文学部卒業。岩倉高等学校教諭、国学院大学兼任講師を経て、1966年専任講師。助教授を経て、1981年教授。2000年4月、口承文芸学研究の業績によって紫綬褒章受賞。文学博士。専攻は口承文芸
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感想・レビュー
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KBS
1
期待していた部分だというのもあったけど口裂け女の章が良かった。うわさの根っこにある呪術的な部分や解釈の多様さもあるけど、この本の著者のように研究対象としての口裂け女に対しての思い入れが伝わってくる文章を読むと、現代の怪談の中でも口裂け女は別格の存在という感じがする。2012/03/10
代理
0
口裂け女の考察を期待して読んだが、かなりガッカリ。全体的に薄味な解説。新聞掲載という事情もあるのでそこは我慢。スクエアとかごめかごめの類似は気付かなかった。2016/07/17
霹靂火 雷公
0
近世~現代の江戸・東京における噂話を追った一冊。新聞の連載だったこともあり、話題が数珠繋ぎのようにリレーしてゆくので、続きが気になる構成が小気味よい。2016/05/02