内容説明
これは、全ての介護職員に贈る肯定の物語。第1回ハナショウブ小説賞大賞受賞作(長編部門)。「わしはお前に―」“心がない”介護を続ける青年の胸を打つ、その言葉の先にあるものとは。
著者等紹介
小原瑞樹[オハラミズキ]
1991年生まれ。京都市出身。元介護士。2023年に『ハートレス・ケア』(旧題:Why do you care?)が第1回ハナショウブ小説賞長編部門大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
179
第1回ハナショウブ小説賞 長編部門大賞受賞作品で元介護士の著者が描く現役で働く多くの方に読んで欲しい心を強く打たれる名作ですよ。希望の職場に就けずに仕方なく介護現場で働く事になった主人公の男子が、同期の友人に比べて「負け組」の底辺だなと感じて日々の3K仕事を嫌々やり続け取り合えず半年我慢して働こうと思っていた気持ちが先輩の介護士さん達と接する中での気づきや学びにより心境が変化していきます。ハートレス・ケアじゃ駄目だ。介護される側の人の心を考えてケアしなくちゃと心が震える良書でした。#NetGalleyJP2025/01/02
tan
19
児童書でよく見る大好きなスカイエマさんの挿画もあってか中学生の課題図書向きな作品でした。就活に失敗してやりたくもない介護職についてしまった大石は、半年後に辞める気持ちで働く毎日。でも同僚の井上よりもよっぽど仕事に向き合っているように感じる。夜勤もそれほど苦にならず、仕事にも慣れてきている時点で彼はこの仕事に向いている人だと思う。ただ、底辺の仕事と思っているから世間体を気にしているだけ。でも「介護は人生の最後を彩る仕事」。とても尊い仕事だと思います。大石は人の心に寄り添えるいい介護士になれるんじゃないかな。2024/10/22
蕭白
5
お話としては悪くなかったです。2024/09/19
ねすとる
4
例えばコンビニのレジ対応が雑だった。そこに「ハートレス」を感じたとしよう。だが欲しかったおにぎりは買うことができた。まぁ仕方ないな、となったりする。では介護ではどうか?そんなハートレスな対応、けしからん!と思うのではないか?最も「ハート」が求められているとりわけ介護に従事しておられる人々が、時に「底辺」などと侮蔑されその評価をそのまま内面化して卑下的に働く者もいる実状がここにはある。介護という仕事の中にある「この人のために」という気持ち「ハート」の尊さが多くの読者に届いてほしい。いつも祖母をありがとうござ2024/09/20
ゆり
3
主人公の大石の大卒なのにという葛藤。周りから底辺と思われていることの憂鬱さ。色んな感情が伝わってきました。嫌だなと思いつつそれを正直に打ち明け、それでも前を向いていこうとする姿に涙が出そうでした。 入所している方たちの優しさや、周りの先輩たちの優しさも素敵だなと思いました。 介護職だけでなく、仕事に悩んでる方、いましている仕事が苦痛な方にもおすすめです。 #NetGalleyJP2024/11/14
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