目次
第1章 キューバ資料が語るヘミングウェイと近代日本・中国との交差―ハバナのヘミングウェイ博物館と蔵書研究
第2章 語り手フレデリックの「学び」―『武器よさらば』に見る同盟・共闘と日米確執
第3章 大恐慌期のチャイナタウン・スラミング―『持つと持たぬと』に見る貧乏白人の危機的アイデンティティ
第4章 「国際友人」ヘミングウェイ―中国における諜報とプロパガンダ
第5章 戦場へのレクイエム―「原爆ジョーク」と『河を渡って木立の中へ』
第6章 文部省特選映画『老人と海』―戦中戦後の武士道言説を文脈に
第7章 長髪の日本人画家と長髪の画家ニック―「オリジナル・エデンの園」に見る出逢いの再現
著者等紹介
柳沢秀郎[ヤナギサワヒデオ]
名城大学外国語学部准教授。1971年長野県生まれ。名古屋大学大学院国際言語文化研究科博士後期課程満期退学。博士(文学:名古屋大学)。専門はアメリカ文学、とくにヘミングウェイのアジア表象を中心に研究。現在はキューバのヘミングウェイ博物館と共同で行ったペーパーマテリアルの書き込みの判読と分析を中心に研究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
12
日本人研究者としてのヘミングウェイ研究を追求した本。戦後の日本で、『老人と海』が文部省特選映画となり全国の学校で見せられた。道徳喪失後の新たな道徳として。日焼け小説『エデンの園』の草稿段階では、短髪夫婦の対として長髪夫婦があったが、そこにはパリにいた日本人画家たち(ヘミングウェイはその長髪=ボエーム、左岸に魅了されていた)の影響がある。日中戦争時に中国にいたことから、日本よりもはるかに中国との関わりが深いヘミングウェイだが、こうしてみてみると、思った以上に日本とも縁がある。キューバでの資料調査記も貴重。2023/06/11