内容説明
やはり、図書館を創るのは「人」。塩尻市立図書館を支えた市民との「出会い」「縁」を綴ったエピソード集。
目次
序章 市民が創った図書館
1章 邂逅から創造へと繋ぐ(小野宗昭―図書館への熱い思いを握手に込めて;嶋田嘉一郎―図書館長の矜持を教えてくれた人 ほか)
2章 同人誌『文芸しおじり』から(言葉ノート―平成21年夏号(通巻142号)
蔵書の行方―平成22年冬号(通巻144号) ほか)
3章 地方から出版を考える―地方出版社の本はどのように市場を形成するのか~『だから図書館めぐりはやめられない』を例にして考える
著者等紹介
内野安彦[ウチノヤスヒコ]
1956年茨城県に生まれる。1979年茨城県鹿島町役場(現鹿嶋市役所)入所。この間、総務・広報広聴・人事・企画を経て図書館に配属。中央図書館長・学校教育課長を務める。2007年長野県塩尻市役所からの招聘に応じ、鹿嶋市役所を退職。塩尻市役所に入所。この間、図書館長として、新図書館の開館準備を指揮。2010年7月に新館開館。2012年3月に塩尻市役所を退職。現在、常磐大学、松本大学松商短期大学部、熊本学園大学非常勤講師。筑波大学大学院図書館情報メディア研究科博士後期課程中退。図書館情報学修士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
44
思っていたのとは違った内容でしたが、図書館への熱い思いが伝わってきました。私の地元図書館は寂しい陰りだなぁと改めて痛感。著者のような熱い方がいらしたらと、思わずにはいられません。「どうせ無駄と思っても、図書館員に思いを伝えて欲しい。図書館員も待っている」というような事が書かれてましたが、何度か伝えましたが、無駄でしたね。(予約待ち割り込みがありました)図書館員はアルバイトですから権限無し。上に立つ人の意識が高くないと無理なのでしょう。読んでいて羨ましかったです。2016/05/07
さぜん
42
公共図書館の役割についてを研究テーマに掲げてはいるもののどうアプローチしていいか迷走中。塩尻図書館の活動に注目したのは「本の寺子屋」。様々な著名人の講演など積極的に読書推進に力を入れている。塩尻市は筑摩書房の摩書房の創設者、古田晁の生誕の地。出版文化には他の地域とは違う思いを感じる。本を愛し、未来に向けて行動している人達がいる。地域性に留まらず日本中に普及してほしい。2022/06/30
壱萬参仟縁
19
えんぱーくのよいところは、新刊書がすぐに入手できること。本サイトでも随分紹介してきた経緯がある。わたしの自治体の図書館は、学校の図書室未満でへぼい。だからえんぱーくなしには記録を延ばすことはできなかった。 えんぱーくの特徴は、地元の古田晃氏の筑摩書房の本が充実していること(34頁~)。北小野の素封家に生を受け、岩波茂雄に憧れ、創業したという(立澤節朗氏)。身長190センチの巨躯でありながら、シャイな性格。 酒が入ると豪放磊落(36頁)。 2014/09/07
お昼寝ニャンコ
4
『本はそれを必要とする読者に流れ着くのか』。この命題に著者は自著において出版流通の実験をし、結果『相当に困難である』、地方の読者は本を手に取って見ることが出来ないから買えない(買わない)だけ。それを補うのが公共図書館の役割だと述べています。実際に著者の本を2冊図書館で借り、その後ネット購入しました。前半はえんぱーく館長時代お世話になった人達へのエッセイ。2章は同人誌の投稿からピックアップ。注目すべきは3章の『地方から出版を考える』です。日本の出版における問題点が詳細に述べられており、勉強になりました。2016/03/08
Mizukimoe
2
長野県塩尻市の市立図書館「えんぱーく」の立役者である著者による図書館長在職時の回想を主とした本。塩尻とは縁もゆかりもなかったにもかかわらず、このような全国に名を知られる図書館をつくることができたのは、地域の人との縁を大切にしてきたからだということがこの本の全体から伝わってくる。図書館という領域に限らず、地域での働き方についても示唆がある本だった。2022/01/10