内容説明
舞台はメキシコ湾流、小さな帆船を操り、独り漁を続ける老漁師サンチャゴ。84日もの不漁の末に、彼はついに巨大カジキマグロと遭遇する。激闘4日、ついに勝利を収めたサンチャゴだったが、港に戻る途中サメに襲われ、獲物は食いちぎられていく…。不屈の精神で格闘する老人の姿、彼を尊敬し優しい眼差しで見つめる少年との友情、巨大マグロに対する崇敬や大自然への畏敬の念を見事に描ききった20世紀の名作。ノーベル文学賞作家による、ピュリツァー賞受賞作品。
著者等紹介
ヘミングウェイ,アーネスト[ヘミングウェイ,アーネスト] [Hemingway,Ernest]
1899年、イリノイ州シカゴ近郊のオークパークに生まれる。1918年、第一次大戦に従軍し、重傷を負う。その後、フリーランスの記者を経て『われらの時代に』『日はまた昇る』などを刊行。スペイン内戦、第二次大戦にも従軍記者として参加。1947年、戦時報道員としての勲功に「ブロンズ・スター」勲章が授与される。1952年、「ライフ」誌に『老人と海』を発表、翌年ピュリツァー賞受賞。1954年、ノーベル文学賞受賞。1961年、猟銃で自殺。享年61歳
中山善之[ナカヤマヨシユキ]
北海道生まれ。慶應義塾大学卒業。タイム・ライフ日本支社図書編集部勤務後、翻訳者になる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふう
16
【ガーディアン必読小説1000冊】#57 海は海である。老人は老人である。少年は少年であり、魚は魚である。 ヘミングウェイが読者に期待したとおり素直な気持ちで読んだ。 望みを持たないのは愚かだ、と読者である老人も思った。 それぞれの読み手がそれぞれの感慨を抱くであろう、いい小説。 2015/09/10
テツ
11
『老人と海』はもともと好きな小説ですが、読んだことのない訳者の方というのと表紙のイラストに心惹かれて購入。わりとおっさんになって読み返してみるとサンチャゴが海の上で何故孤独に戦ったのか、一体彼はその戦いで何を示したかったのかなどについて、最初に読んだこどもの頃とはまた違う感想が浮かんでくる。サンチャゴは勝ったわけでも負けたわけでもなく、ただ自分自身の存在を大海と大魚、そして自分を愛する少年に示した。魚を失ったことも含めて全てがサンチャゴ自身なんだ。とても清らかな自己実現の一つの形。2015/01/07
taka
3
別に好意的でもないのに、一緒に長い時間いると生まれる妙な連帯感。2017/06/11
sirokuma
3
やっぱり、何度読んでもいいな。いろいろ考えさせられる名作。新訳もよかった。人生経験を積んだ訳者だからこそ出せる味があるのだろう。2013/11/17
とし
2
名作とのことで読んでみたが、あまり心に響かなかった。 サンチャゴとマカジキの気高さ、自然の雄大さは感じたけれども、マカジキとの闘いを退屈に感じてしまう今の私には何か共感できないものがあるんだろうなと。 自分がサンチャゴになりきれない脂ののっている時だからということもあるかもしれない。 夢オチ説もあるとのことだけど個人的にはサンチャゴとマカジキの気高さ、誇りは目に見えるものではなくて、他人は干渉する事のできない領域なのかなと思った。 人間は負けるようには造られていない 殺されるかもしれない、でも負けはしない2021/12/31