内容説明
鬼籍に入ったわが文学の師と友人たちとの生前の交遊を、あますところなく活写した、本音の追悼集。
目次
有馬頼義―悲劇的晩年
藤澤進―ロマン派の残党
高田嘉代―薮屋敷の仙女
五十嵐耕一―愛すべき畸人
中谷孝雄―拝顔拝聴四十年
平丘耕一郎―喪章の一匹狼
三川八十一―さまよえるロマン派
糸屋鎌吉―孤高のロマン派詩人
下江巌―空白の三十年
西岡辰惟―宿縁の長い旅
丹羽文雄―五人目の先生
著者等紹介
大森光章[オオモリコウショウ]
大正11年、北海道生れ。明治大学文芸科中退。「ラマンチヤ」「三田文学」「文芸日本」「文学者」「円卓」「文学界」「新潮」等に作品を発表。芥川賞候補3回(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kokada_jnet
20
気の弱い著者をいじめる「悪役」キャラとして登場する後藤明生の姿も、忘れがたい。同人誌「円卓」時代、後輩としてきて入ってきて、同人誌の方向性の違いで議論になった後に。後藤が「そんな態度なら、今後つきやってやらんぞ」と高圧的に語ったのがトラウマになった模様。この場面は、前著も含め、何度も描かれている。2017/10/29
kokada_jnet
15
高名な医学者・文人だった、高田義一郎の未亡人の高田嘉代が、実に奇妙な人。1945年の高田の没後、広大な自宅や敷地内に他人を間借りさせ、またいくつかの文藝同人誌に参加しながら特異な生活を送り、1991年に死去。2017/10/29
kokada_jnet
15
「気がよわくて孤独癖が強く、口下手」な純文学作家だった著者は、戦後のさまざまな純文学同人誌に参加しながら、ゴーストライターで生をおくった。年老いての、死去者への暴露本「たそがれの挽歌」の2年後の続編。とりあげている12名のうち、有名なのは有馬頼義、丹羽文雄。その他10名は、たまたま著者の周りにいただけの、無名な奇人たちである。著者85歳、相手はみな死去者なので、遠慮がまったくない。2017/10/29