内容説明
1930年代、40年代の前半に、アジアは戦雲に満ちた。その下で引き裂かれた夥しい若人の青春が葬られた。彼らの「生」に意味を与える事こそは、後世を生きる後進世代の「仕事」でなければならない。中国というアジアの一地域に、「国家ナショナリズム」に基づいた、「法幣」(リーガル・テンダー)による「金融再編」の波が起った。日本はこの波動に対して、中国・東北三省地方における我が利権を守ろうとし、日中戦争に踏み込んでいった。「法幣」をキー・コンセプトにすれば、本書が分析する様に、中国のこの「金融再編」問題から、また、やがてアジア「植民地分割支配体制」全体の金融構造をも揺るがし、英米と日本の間で、壮絶なアジア「金融圏争覇戦争」を生起させることに進展して行った歴史が、読み解けるのである。
目次
第1章 中国諸政権「中央銀行」の対(旧)法幣争覇金融工作と日中戦争
第2章 満州事変後の「華北独立」工作と日中関係
第3章 蒙彊銀行と中国連銀「連銀一本立て」通貨政策
第4章 日華事変後日本金融の「広義国防化」変換と、「華北『分治』工作」をめぐるを政府・軍「高度国防」化抗争
第5章 汪兆銘中国新中央政府(南京)と華中環境
第6章 東アジア及び東南アジア「円貨金融圏」の形成をめぐる東アジア外交・軍事
第7章 日・米「金融・清算圏」抗争と「ハル・ノート」
第8章 華中地域における「儲備券一色化」と「物動」の進展
第9章 「南方」『大東亜』金融政策と大東亜会議
第10章 「大東亜会議」外交の東南アジア国家承認政策展開
終章 第2次国共合作関係の逆転
補章 奉天政府と満州国建国の関係
著者等紹介
判澤純太[ハンザワジュンタ]
新潟工科大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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