World physics selection
オットー・ハーン―科学者の義務と責任とは

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 297p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784431712176
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C3042

内容説明

捕虜となった10人のドイツの科学者たちは、盗聴されているとも知らず、広島への原爆投下を知らせるラジオのニュースに動揺し、感情を高ぶらせながら議論した。ハイゼンベルクはドイツの原爆研究が推進されなかったことを悔やんだ。ヴィルツは、ドイツに原爆があったら、降伏の時によりよい条件で交渉できたはずだ、などという意見を吐いた。ゲルラッハも同じように考えていた。このときハーンは「われわれは、それを造らなくてよかった」と言った。かつての同僚マイトナーとの確執、ナチス政権下でのウラン計画への参加、広島・長崎への原爆投下に対する道義的責任など、ハーンにとってウランは呪いのようなものでもあった。新発見の資料や研究成果をもとに、科学者の仕事とは、そして責任とは何かを考えるための好著。

目次

原子爆弾とノーベル賞
少年時代、勉強、最初の見習い期間
自然科学への目覚め
はじめての科学的発見
ベルリン大学での研究
カイザー・ヴィルヘルム協会
第一次世界大戦
原子研究者たちにとっての新しい成功
国家社会主義(ナチズム)―ドイツ科学の凋落
93番元素をめぐる論争
ウラン原子の分裂
ヒトラーの原子爆弾の脅威
アメリカの超爆薬ウラン
原子科学者たちの捜索
偏見に満ちた世界
原爆外交
良心と政治の葛藤
ゲッティンゲンの18人の要求
核兵器の実験と核の均衡に反対して
年表

著者等紹介

山崎正勝[ヤマザキマサカツ]
1944年生。東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科教授。専門は科学史

小長谷大介[コナガヤダイスケ]
1970年生。東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。龍谷大学経営学部専任講師。専門は物理学史

栗原岳史[クリハラタケシ]
1972年生。東邦大学大学院理学研究科修士課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程在学中。専門は科学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ダージリン

0
核分裂の発見者として名前は知っていたが、詳しいことは知らなかったので勉強になった。 戦後、核兵器反対の立場を明確に打ち出し、他の科学者達と共に行動を起こしていくが、ドイツの核に対する強い警戒感は、当時の彼等の活動に影響を受けているのではないかと思った。2011/04/24

xuxu

0
栄光と絶望に彩られた人生。訳がこなれていなくて読むのに時間がかかったが、内容はとても興味深かった。優秀な科学者として頭角を現していく前半生。マイトナーとの実り多き共同研究。ユダヤ人の彼女を逃がす緊迫の場面。核分裂の発見とその優先権を巡る争い。否応なく戦争に組み込まれていく過程とナチスの暴威への抵抗。虜囚として聞かされた運命の宣告、原爆投下の報。自殺すら考えた彼が、戦後誹謗中傷に負けず亡くなるまで反核運動の先頭に立ち続けたことに強い感銘を受けた。たった一人の孫は祖父の意志を継ぎ平和運動家になっているそうだ。2018/12/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/1134996
  • ご注意事項