内容説明
捕虜となった10人のドイツの科学者たちは、盗聴されているとも知らず、広島への原爆投下を知らせるラジオのニュースに動揺し、感情を高ぶらせながら議論した。ハイゼンベルクはドイツの原爆研究が推進されなかったことを悔やんだ。ヴィルツは、ドイツに原爆があったら、降伏の時によりよい条件で交渉できたはずだ、などという意見を吐いた。ゲルラッハも同じように考えていた。このときハーンは「われわれは、それを造らなくてよかった」と言った。かつての同僚マイトナーとの確執、ナチス政権下でのウラン計画への参加、広島・長崎への原爆投下に対する道義的責任など、ハーンにとってウランは呪いのようなものでもあった。新発見の資料や研究成果をもとに、科学者の仕事とは、そして責任とは何かを考えるための好著。
目次
原子爆弾とノーベル賞
少年時代、勉強、最初の見習い期間
自然科学への目覚め
はじめての科学的発見
ベルリン大学での研究
カイザー・ヴィルヘルム協会
第一次世界大戦
原子研究者たちにとっての新しい成功
国家社会主義(ナチズム)―ドイツ科学の凋落
93番元素をめぐる論争
ウラン原子の分裂
ヒトラーの原子爆弾の脅威
アメリカの超爆薬ウラン
原子科学者たちの捜索
偏見に満ちた世界
原爆外交
良心と政治の葛藤
ゲッティンゲンの18人の要求
核兵器の実験と核の均衡に反対して
年表
著者等紹介
山崎正勝[ヤマザキマサカツ]
1944年生。東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科教授。専門は科学史
小長谷大介[コナガヤダイスケ]
1970年生。東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。龍谷大学経営学部専任講師。専門は物理学史
栗原岳史[クリハラタケシ]
1972年生。東邦大学大学院理学研究科修士課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程在学中。専門は科学史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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